千葉市に水族館を誘致 新たなSGDsのシンボルに【2022年7月号】
Aqua Dream Project 代表 小亀 さおりさん
小亀さおりさんは2014年~2015年の「千葉シティ5BEACHエンジェルス・幕張の浜」として千葉市観光大使を務めたことをきっかけに、その後も地域の魅力を高めるための活動を続けている。
観光大使に抜擢される前は子育て中の専業主婦だったという小亀さん。「他の観光大使は学生さんばかりのなか、当時私は38歳。周囲は私をどう思っているのだろうと悩んだ時期もありました。ある時、大切な時間をそんなマイナス思考に使うのがもったいないと気づきました。今は多様性が求められる社会、だから私らしく、できることをしようって吹っ切れたんです」。
シンガポール航空の客室乗務員として勤務した経験を生かし、その後は観光大使の活動をしながら、千葉市の観光プロモーション課で海外集客班職員としてマレーシアをターゲットとしたムスリムインバウンドを担当。空の上のサービス業に就いていたころから、「おもてなし」を大切にしてき小亀さんは、イスラム教徒のお客様に日本を楽しんでもらうことを、市民の幸せにつなげるにはどうしたらいいのかと考えたという。お祈りする場所がない、豚肉やお酒を使用していない食事を提供する店がない、他人の目を気にせずヒジャブ(スカーフ)をはずせる美容室がないなど、難しい課題に取り組んだ。
「事業者様や友人、千葉大学の学生さんたちにもご協力をいただき、礼拝できる場所や飲食・美容等のサービスを安心して受けられる店舗を開拓することができました」。そして、ついに「千葉市ムスリムおもてなしマップ」が完成。仕事をやり遂げ、達成感を得たと同時に仲間の大切さを再認識できたこの経験は小亀さんを大きく成長させた。「千葉市の魅力は人です。それをどのように活かして千葉市ならではのウエーブを起こせるのか?それが今の活動の軸になっています」。
そんな小亀さんが現在、力を入れているのが、自らが代表を務めるAqua Dream Projectだ。2022年4月に発足した市民ボランティア団体で、幕張新都心への水族館誘致活動のほか、幕張の浜でのビーチクリーン活動を通じて、身近な浜辺から環境問題を共に考える機会を創り出すなど、まちづくりへの機運を高めている。
持続可能なまちづくりの視点からも注目される水族館誘致には、幕張ベイタウン自治会連合会、幕張ベイタウン商店街振興組合、幕張新都心ホテル協議会、幕張新都心まちづくり協議会、株式会社千葉日報社なども協力し、すでに千葉県と千葉市へ水族館誘致の嘆願書を提出、年間を通しての集客と地域における回遊性の向上を目指すという。また、水族館は海の生き物から環境問題など多くを学べる場にもなり、千葉市の観光における目玉スポットになると期待されている。
今後のAqua Dream Projectについて小亀さんは「地域活動を行っている方々を支えられるような組織へと成長させたい。それが魅力的なまちづくりを加速させ、地域への還元になると考えています」と意欲を語った。