中古マンション高騰率 稲毛区が全国トップ 【2022年9月号】
全国における中古マンションの高騰率を発表した「2022年4月 全国市区町村 中古マンション騰落率ランキング100」によると、全国で最も高騰した地域は千葉市稲毛区だった。
このランキングは、一般的な不動産サイトでは見られないような物件の詳細情報まで掲載しているウェブサイト「マンションレビュー」(株式会社ワンノブアカインド運営)が発表したもの。サイトによると稲毛区の中古マンションにおける70平米換算の推定価格は1940万4800円(2022年4月時点)、1年前の4月と比較すると約34%も価格が上昇。ちなみに第2位が埼玉県川越市、第3位が兵庫県明石市となっている。
稲毛区の不動産関係者に中古マンションの高騰について話を聞いたところ「快速電車が停車するJR船橋駅やJR津田沼駅に比べて、JR稲毛駅周辺は静かで住み心地がよい地域。マンションを探しているお客さんも度々来店するなどニーズは高いが、今は紹介できる物件がなく、お客さんは買いたくても買えない状態が続いている」と語った。
高騰の理由についてたずねると、ここ数年コロナ禍で人の流れが減り、稲毛から出ていく人も少ないため、中古マンションの空き物件が出なくなったことも関係しているという。稲毛区には築数十年の古いマンションが多いが、空き物件が少ないことから古くても価格が上昇中とのこと。それでも大手業者は高値で買い取り、リノベーションする際の経費となる住宅建材や設備の高騰が拍車をかけ、去年と比べ3割以上の価格上昇につながったと見ている。この高値はしばらく続くだろうと話した。
稲毛区は千葉大学、千葉経済大学、敬愛大学など多くの教育機関が存在し、大学と連携してまちづくりに取り組む「文教のまち」としても知られている。また、公共交通機関はJR総武本線、京成千葉線、千葉都市モノレールがあり移動も便利なことから、商業地域だけでなく住宅街としても発展してきた。今回のランキングの結果にはこうした稲毛区の魅力が再認識された要素も含まれているのではないだろうか。