「不当請求」専門の弁護士横行【2022年12月号】

  2022/12/6
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時効成立後に取立「提訴する」と脅迫まがいも

貸金回収を専門にする弁護士は多いが、とうに消滅時効が成立し、返済義務のなくなった借金を、「滞納をこれ以上待てないから訴える」「期日まで連絡がない場合は貯金や不動産を差し押さえる」と脅し、強引に回収を図る弁護士が増えている。

借りたものは返すのが筋だが、消滅時効が成立してのち数年以上が経過した段階でやってくる突然の弁護士からの請求、時間が経っているから損害金が莫大に増えているケースばかりで、元金の残高が20万円であるのに対し、損害金が50万円を超えているものもあり、債務者をひどく困惑させている。多くが弁護士法人化された弁護士事務所からのもので、悪名高いと言われている事務所も少なくない。

民法上、「裁判の中で消滅時効が成立したから払わない」と主張しなければならない建前があり、債権者の消滅時効成立後の弁済請求自体が禁止されているわけではないところに問題がある。
 

時効進行がリセットされる仕組み

そして債務者が債務を認めたり1円でも支払に応じれば時効の進行がリセットされ、損害金を含めて全額の弁済義務が復活してしまうことを知らない債務者が多い。法律の専門家である弁護士が一般人の「認識不足」を承知で、請求を起こしている構図がうかがえる。

「税務処理上必要だから、残高確認書にサインして返送するように」と求めてくる悪質なケースがあるが、これも全額の弁済義務を復活させる手法であり、違法ではないとはいえ、債務者を再び追い込む詐欺的手法としか言いようがない。弁済できていない債務者の心の負い目につけこんだ悪徳行為であるといえよう。

専門知識を悪用する弁護士の存在 

未払金の回収を弁護士に相談した場合、「消滅時効が成立していると回収は困難である」として依頼を引き受けないことが圧倒的に多いが、その一方で消費者金融の回収には消滅時効が成立していても積極的に回収を引き受けている。

消費者金融やカードの支払いを焦げ付かせる債務者は弁護士などの専門家には相談しないことを見越して請求をしてきている。ここまで来ると弁護士とはいえ、もう、正義の味方どころか専門知識を悪用する悪辣な弁護士としか評価できない。 弁護士事務所に連絡して弁護士本人を指名しても、弁護士本人が対応せず、事務職員が対応することは弁護士倫理に反するものだ。

消滅時効成立後も繰り返される請求

また、未回収の債権は、債権買取業者間で譲渡が繰り返されるのが常で、かつて消滅時効成立で支払拒否したものが、数年後に別の回収業者から別の弁護士名で請求が来るケースも横行している。国も弁護士会もこれらの事実を把握していながら手を打たずに放置したままであることは、重大な問題であるとの声が上がっている。

元はといえば借りたものを返せない債務者に非があるのだが、消滅時効が成立したら弁済義務がなくなるのは民法で定められている。借りたものを返すべきであることも、一定の条件がそろえば返す必要がなくなることも両方とも民法の定めだ。法律の専門家である弁護士が、法律に関する知識を悪用している実態は改善されねばならないだろう。

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