家財整理の現場を小紙記者が体験レポート【2023年6月号】

  2023/6/2
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生前整理や遺品整理をどこに頼んだらいいのだろう…そんな悩みを持つ方は多いのではないだろうか。個人では到底できない大量の不用品処分を業者に依頼する人も増えているそうだ。そこで、実際に家財整理を行った小紙記者が、見積りから当日の作業、かかった費用までをレポートする。

高まる生前整理・遺品整理のニーズ

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先月、高齢者施設に入居した知人から家財整理を頼まれた。独居だった賃貸マンションには大きなタンスやベッドなどプロでないと運び出せない家具類、押し入れや戸棚には、古い食器や壊れた家電、古着など不用品がぎっしりだった。

いったい何から始めたらいいのかと悩んでいたところ、知り合いからある業者を紹介してもらった。その業者は愛知県に本社があり関東でも広範囲にわたって不用品整理などを展開。介護業界と連携し高齢者に寄り添いながら家財整理を手伝っているという。千葉市内は美浜区に拠点があるとのことで、早速見積りを依頼してみた。

供養してほしい物

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気にかけていたのは遺影や仏壇、数々の仏具。これらは供養してから処分してほしかったので、供養料として別料金が発生しても仕方がないと思っていた。そもそも供養も引き受けてくれるのだろうかと心配だった。
また、家電の廃棄料や大型家具など、処分費用のオプション料があった場合はいくら加算されるのか見当もつかない。この点を最初に確認すると、供養料も家電リサイクル料もすべて料金内とのことだった。

見積りに来たのは礼儀正しい男性スタッフ。テキパキと室内を確認した後に料金形態を説明し約20分で見積り金額が決定した。家財量から作業時間が4時間と推測、使用するのは2tトラックを2台で約24万円。追加料金なし、全て込みの金額だ。ちなみに3年以内の家電製品は状態によっては買い取りも可能、当日作業代から引いてくれるそう。

正式にお願いするとその場で1週間後の予約が取れた。そしてその日のうちにメールで契約書が送られてきた。費用や注意点などは口頭だけでなく紙で残されるので安心できた。

料金形態と賃貸物件の注意点

料金形態は荷物量や作業量で変動する。住居の場所や、集合住宅の場合は、エレベーターまでの距離、搬出の際のトラックまでの距離などで料金が変わってくるという。以前、あるサイトで部屋の広さから見積りしてもらったところ20~30万円、格安サービスのマッチングサイトでは17~20万円だった。一見安いようだがこれは基本料のみのところも多く、家電の廃棄料、仏壇・仏具などの供養料、清掃料、その他のオプション料金が追加される。そのため今回のようなケースでは、すべて込みになっているこの業者のほうが安上がりだったと思う。さらに運び出した後の簡単な掃除まで料金内だった。

見積もりの際に「お風呂の蓋や換気扇は残しますか?」などと、マンションの付帯設備の可能性のあるものに気づいてくれたのも高評価につながる。管理会社に確認すると風呂の蓋は備え付けだったので、処分してしまったら弁償しなければならず、反対に備品だと思っていた換気扇や湯沸かし器は撤去してもらわなかったら後日、管理組合から撤去費用を請求され想定外の出費となるところだった。

貴重品が出てきたら依頼者へ

ほかにも気がかりな点は、作業の際に貴重品が出てきても気が付かれずに捨てられてしまうかもしれないことだった。確認したところ、当日その場で一つ一つ分類しながら進めていくとのこと。金銭や貴重品、価値があると思われるものが出てきた場合は所定の箱に入れ、依頼者に返すよう徹底されていた。

家財整理の際に探し物を頼まれることもあるという。形見の指輪や権利書など大切なものが思いがけない場所から出てきて感謝されることもあるそうだ。

8割以上がリサイクル

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この仕事を始めて5年目を迎えるという安藤侃杜さん(29)ほか若いスタッフ2名が今回の家財整理を担当してくれた。

見積り時に決めた捨てるもの、残すものを再度確認し、作業開始。何箱もの段ボールに紙、プラスチック、家電などを手際よく分類しながら詰めていく。これはリサイクルのために必要な作業だという。

再利用できるものは、海外でのリユースへ回したり、ボランティア団体に寄付したり、できるだけゴミを出さない取り組みを実施し、その結果8割以上がリサイクルされているそうだ。

立ち合いが必要なのは最初と最後だけ。開始から3時間半後、終了の電話をもらい再び現場へ。きれいに片付いた室内に残留物がないことを確認し書類にサイン。そして精算、終了。作業の際に見つけてくれた小銭や貴重品を受け取ったので後日、所有者本人に渡すと何点か思い出の品もあったようで喜んでいた。

悪質な業者に注意

家財整理は資格不要で請け負えるためニーズが増えるに伴って、新たに参入する企業や個人も多くなったと安藤さん。「通常の倍以上の見積りを出したり、当日に高額な請求をしたり、当日来なかったりと、いい加減な業者もいます。トラブルを避けるためにも相見積りは大事です。口頭だけではなく見積りを書面で残してくれることも確認して、信頼できる業者を選んでください」と話していた。

生前整理をする理由

昨今、生前整理をする人が増えていることについて、今回依頼した㈱クオーレの取締役、本田啓夫さんに話を聞いた。「生きている間に不要な家財を処分し、すっきりとした環境で余生を暮らす方が増えています。より衛生的な生活になり心と体にも良いのではないでしょうか。また、ご本人のためだけでなくお子さんに迷惑をかけたくないという思いもあるようです。大量の所有物をどうするか、生きている間に自分で決めて実行に移せることも生前整理のメリットです」。

生きている限り物は増え続けていく。残りの人生を安心して過ごすための新たな選択肢の一つが生前整理なのだ。私にとって今回の一連の作業と取材は、実家や自宅にあふれている物の行く末について、真剣に考える貴重な機会となった。

【取材協力】
家財整理・不用品整理クオーレ 
℡0120・923・225

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