コラム[キキミミポスト]~無用の用と誰得~ byオハラ キキ

  2024/2/29
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「無用の用」という言葉があります。これは中国の思想家、荘子が書いた書物の中に出てくる言葉で、「役に立ちそうなものの価値は知っているが、役に立たないものが役立つことを知らない」というような意味です。また、老子の書物では、器など「形あるものが役に立つのは、形のないもの(空間)があるからだ」と言っています。むむ…とても深い。

では、一般的に「無用」に感じてしまうことはどんなことがあげられるでしょうか。

例えば、会社員にしてみたら会社の忘年会、ご近所さんや知り合いとの立ち話、会合での来賓の長い挨拶などでしょうか。「誰得?」と思わせることは多々あるかと思います。ちなみに「誰得」とは流行り言葉で、「それで誰が得するの?」という不満の声を略した言い方です。

これは私の経験ですが、年を重ねると、誰の得にもならないと思っていたことが「それらにもちゃんとした『用』があるのでは?」と考えられるようになりました。特に、ここ数年の私は「面倒だな」「時間がもったいない」そんなふうに思える用事があるときには、「これこそ無用の用なのだ」と思い直し、前向きに行動するように心がけています。そんな気持ちの切り替えは、いったい誰得なのか…私の精神衛生にきっとよいのでしょうね。

会社の忘年会は若い方は行きたがらないでしょうが、仕事仲間とコミュニケーションを密にとるには、やはり「飲み」はまだまだ有効だと感じています。そういった場では、上司の意外な一面を見ることができて、それまでの堅物な印象が変わったり、なんとなく苦手だった人と趣味の話で意気投合したりと、思わぬ効果が得られるときもあります。

ご近所さんとの立ち話については、無駄に時間をとられるばかりと思えても、スーパーのお買い得品や近くに新しいお店ができたとか、身近な情報をゲットできるときもあったり。まあそれがなかったとしても、ご近所同士が立ち話をする姿があちらこちらで見られると、その地域に空き巣が入りづらくなり、防犯にも役立つそうですから無駄ではないですよね。ただ、パーティーなどでの来賓の長い挨拶は、未だどう役立つかわかりませんが、いつか私にもわかる日が来るのかもしれません(笑)。 

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