「福祉ネイルの意義を世の中に広く伝えたい」Bare soul【2024年4月号】

  2024/4/4
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Bare soul(ベアソウル)(千葉市稲毛区稲毛東)

2018年、ネイリストの松田千秋さんが「心がよろこぶネイルを」をコンセプトとして地元の稲毛に開業。爪や皮膚に優しいネイルを施すお店として知られ、多くのファンを獲得している。
https://bare-soul.jp/

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読者の皆様は「福祉ネイル」をご存じですか? 本紙編集部記者・稲しん子は知りませんでした。今回、訪問したのはネイルサロン「Bare soul」代表の松田千秋さん。日本保険福祉ネイリスト協会の認定を受けた福祉ネイリストである松田さんに、福祉ネイルの目的や必要な理由、爪を健康に保つことの重要さなど、ネイルのあれこれを詳しく伺ってきました。

一番のこだわりは「お爪に優しい」こと

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稲しん子(以下・稲)「福祉ネイルの分野でプロフェッショナルな仕事をしている人がいる」と人づてに聞きまして、今日は伺いました。

松田さん(以下・松)ありがとうございます。もっと世の中の人に広く知ってほしいので、取材していただけるのは嬉しいです。

稲・こちらは福祉ネイル専門のお店というわけではないのですよね?

松・お店自体は違いますね。基本的には普通のいわゆるネイル屋さんです。ネイルケアとかジェルネイルとか、いろいろやっています。

稲・普通のいわゆる「ネイル」で強みにされているものは何ですか?

松・一番こだわっているのは爪回りを優しく丁寧にお手入れしてあげるということです。例えばウォーターケアという技法を採り入れているのですけれど、指先をぬるま湯に浸して、皮膚を柔らかくした状態で不要な角質や甘皮を取り除くのです。
こうしておくと、色が見栄えよく塗れて保ちも良くなるだけでなく、ささくれや肌の傷みの予防にもなります。ただ、施術時間が長くなるのが難点ではあるのですけれど。

稲・時間がかかってもウォーターケアでやってほしいお客様もいるのでは?

松・ウォーターケアだけを目的にお越しになっている方もいらっしゃいます。勤め先の規則とかで色を塗るまではできなくても、爪の健康は保ちたいというニーズがあるのです。

稲・ささくれができないというだけでも嬉しいですものね。

松・爪の形が良くなったり、割れにくくなったり、爪の成長にも関わってきます。丁寧にケアすることには本当にこだわっていまして、フィルインという方法もその一環です。

稲・ジェルネイルを剥がすときの?

松・そうです。ジェルネイルは合成樹脂を硬化させて作りますが、付け替える際、一般的な方法ではアセトンで古いネイルを溶かして除去するんですね。それから、新しく塗る前に爪の表面を少し削って付きをよくします。だから付け替えるたびに少しずつ爪が薄くなってしまうリスクがあるのです。その点、フィルインは全部削らずに下地のベースコートだけ残すので、爪は傷みにくいですし、皮膚への影響が心配なアセトンも使いません。爪の健康を保つのに効果的な方法なのです。爪が薄いため今までジェルネイルができなかった方も、フィルインならジェルネイルを楽しんでいただけます。

ネイルには、ご高齢の方も明るく元気にする力がある

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稲・福祉ネイルは老人ホームなどの介護施設へ行ってネイルをするサービスとのことですが、それもジェルネイルを?

松・いえ、福祉ネイルはポリッシュ、つまりマニキュアです。何かあったときにすぐ取り除けないといけないので。施術時間が短く、ご高齢者の体の負担になりにくいのも利点なのでマニキュアでやっています。

稲・それはいいですね。みなさんの反応はいかがです?
松・めちゃくちゃ喜んでくれます。最初は尻込みしているんですけれど、施術してあげるともう満面の笑みです。認知症のある方も、ニコニコしてきれいになった爪をじっと見入っていたりします。

稲・いくつになってもきれいになるのは嬉しい。

松・こんなに楽しい仕事があったのかと、ハマってしまいました。爪は常に目に入ってくる部位。爪に色があることで、ワクワクした良い気分が長く持続します。つまりメンタル面のケアに繋がるということで、認知症の方には強くお薦めしたいです。行くたびに毎回「初めまして」になってしまうんですけれどね(笑)。施術しながら他愛のないお喋りをして、明るく元気になってもらう。その時間がとても楽しいです。

稲・でも、介護施設は数え切れないほどあるので、一つひとつ回るのは大変ですね。

松・だから仲間を増やそうと、協会の認定を受けてスクールを開校しました。私が行けないときでも誰かが行ってくれるように環境を整え始めているので、カバーできる範囲も少しずつ広げられています。

稲・爪がメンタルにも及ぼす影響が大きいというのは考えもしなかったですが、言われてみれば「なるほど」です。

松・クオリティ・オブ・ライフの上でも爪は大事です。私はフットヘルパーという、ご高齢者の足のケアをする資格も持っているのですが、ご高齢者って、足の爪のトラブルがものすごく多いんです。自分で切れなくて伸びっぱなしになると、痛いから散歩を嫌がったりする。バランスを崩して転倒、骨折というパターンも十分にあり得るので、施設の介護士さんやご家族の方たちには、足の爪に気をつけてあげてとお願いしています。

稲・そういう指導のようなこともなさっているのですか。

松・フットヘルパーの育成スクールも開校していますし、学校の運動部の子たちに爪の切り方や手入れ方法などを教えたり、プロスポーツ選手やアスリートのお爪のメンテナンスも行っています。私、アスリートネイル協会の認定を受けたトレーナーでもあるので。

稲・いろいろな資格をお持ちなのですね。アスリートネイル協会とはすごいです。

松・スポーツにおける爪の役割ってものすごく重要。走るにしろ投げるにしろ、爪があるからできるんです。
爪がきちんとしていればパフォーマンスがグッと上がるし、爪にトラブルがあるために実力を発揮できないこともあります。そういう子たちに正しい爪の切り方を教えたり、普段のケアの仕方をレクチャーしたりして、痛くなる前、トラブルが出る前に、自分で爪のケアができるようになろうよと話をしています。

稲・今後の計画としては、どのようなことを?

松・やはり福祉ネイルの活動を広げるということが大きな目標の一つになりますね。
仲間もたくさん増えたので行き先も増やして、ご高齢者のみなさんに元気になってもらいたいと思います。介護施設に限った話ではなく、爪の重要性をそこまで理解している人が多くないので、まずはその啓蒙活動から頑張らなくてはなりません。

稲・今回の記事が少しでもお役に立てればうれしいです。今日はありがとうございました。

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