[スポーツコラム] 勝つことを教える。勝つことだけを教えない。【稲毛新聞2026年11月6日号】
千葉
2026/11/5
作/千葉ドット取締役COO 梶原健

一方で、スポーツには勝ち負けがあり、勝利を目指すからこそ得られる経験もある。競争は人を成長させる大切な要素の一つ。そして、勝利を目指す過程には、勝敗そのもの以上に大きな学びがあると考える。
勝ちたいという気持ちが人を育てる
勝ちたいから練習する。うまくなりたいから工夫する。負けて悔しいから、もう一度挑戦する。スポーツには、こうした自発的な努力を引き出す力がある。努力したからといって、必ず勝てるわけではない。自分より優れた選手もいれば、思いどおりの結果が得られないこともある。
それでも目標に向かって努力を続ける。結果を受け止め、次に向けて考え、行動する。その積み重ねが、人を成長させていく。
自分の立場でチームのために何ができるか
チームスポーツにおいて何よりも大切なのは、一人ひとりが自分の立場でチームのために何ができるかを考え、行動することにある。
試合に出られる選手もいれば、出られない選手もいる。試合に出られなかったとしても、仲間を励ますこと、相手チームを分析すること、練習でチームのレベルを引き上げることなど、自分にできることは必ずある。
そして、試合に出るために自分自身を磨き続けることも大切になる。自分の役割を誰かに与えられるのを待つのではなく、自ら考えて行動する。
強いチームをつくるのは、優れた選手の存在だけではない。一人ひとりがチームの目標を理解し、それぞれの立場から貢献しようとする姿勢にある。これはスポーツだけでなく、社会に出てからも求められる力である。
勝利を目指すことと、勝利至上主義は違う
小学生の段階では、勝つ喜びも負ける悔しさも含め、さまざまな経験を重ねることを大切にしたい。そして中学生以降は、優勝や日本一という明確な目標に向かって、本気で競い合う経験にも大きな価値がある。
もちろん、競技への向き合い方は一人ひとり異なる。それぞれの目標に応じた環境を用意することも重要になる。勝利を目指すことと、勝利至上主義は異なる。勝つために努力することには価値がある。しかし、勝つことだけを評価するようになれば、スポーツが持つ多くの学びを見失ってしまう。
大切なのは、勝敗を通じて何を学び、どう成長するかということ。勝つことを目指し、仲間とともに努力する。その中で、自分の役割を見つけ、主体的に行動する力を身につけていく。
スポーツを通じて育てたいのは、勝ち続ける人間ではなく、どんな状況でも自分にできることを考え、行動できる人間。勝つことを教える。勝つことだけを教えない。その両方を大切にすることが、スポーツの持つ教育的価値を高め、強いチームと豊かな人間性を育むことにつながると考える。
梶原 健プロフィール
1980年生 千葉県船橋市出身
2010年Bリーグ千葉ジェッツを創設、以降Jリーグアビスパ福岡社長代行、ラグビーNECグリーンロケッツ東葛代表など各種プロスポーツチームの経営に参画。25年千葉ドットCOO就任。一方で公益財団法人日本センチュリー交響楽団の代表理事を務めるなど文化芸術分野にも精通。






