どうなる2024? 激動の年が幕開け【2024年1月号】
縁起のよい「辰」
2024年(令和6年)は辰年。辰は別の漢字で「竜」、「龍」とも書く架空の生き物だ。
十二支のなかで唯一、実在しない生き物が「辰」だ。実際の生き物ばかりの十二支になぜ「辰」が入ったのかその理由は諸説ある。中国では「龍」の漢字がワニの意味を持ち、最初はワニが十二支に入っていたことも一説とされている。
辰は昔から神聖な生き物としても崇められ現在も縁起がよいものと言われている。ちなみにスマートフォンの待ち受けを「昇り龍」にすると開運になるそうだ。
そんな縁起のよい辰の年は、陽の気が動き万物が振動する年、活力旺盛になる年、大きな成長を遂げる年と言われている。ほかにも辰(龍)は権力や隆盛の象徴で出世、躍進などが期待できるという。
過去の辰年
2024年は甲辰(きのえたつ)。これは陰陽五行説で「甲」は草木の成長を表し、勢いが増すという意味を持つため、今年はこれまでの努力が実を結ぶ、願いが成就する年になりそうだ。
ちなみに過去の辰年を振り返ってみると、1964年の東京オリンピック開催や東京モノレール開業、東海道新幹線開業、太平洋横断ケーブル開通、1976年のAPPLE社による初代マイクロコンピューター発表など、新しい技術が華々しく実を結んだ年だった。これらを踏まえると、今年は最新技術を駆使した画期的な、もの、こと、サービスが登場するのでは?
50歳以上が人口の半数超え
今年は飛躍や成長の年になると言われている一方で「2024年問題」に突入したことも忘れてはいけない。日本は歴史上初めて50歳以上の人口が5割を超える国となることや、働き方改革関連法の施行により多方面で深刻な問題が生じ混乱の年になると予想されている。総務省統計局が発表した最新の集計「2022年高齢者の人口」によれば、我が国の65歳以上の高齢者人口は、3627万人と、前年に比べ6万人増加し、過去最多。総人口に占める高齢者の割合は29・1%であり、前年に比べ0・3ポイント上昇し過去最高に。
同年の高齢者の総人口に占める割合を比較すると、日本は世界で最も高い。我が国の高齢化社会の延伸は、第2次ベビーブーム期(1971年~1974年)に生まれた世代が65歳以上となる2040年におよそ35・3%になるまで続き、そこからゆるやかになる予想だ。
政治的動向は?
経済学の定説によれば、高齢化社会では相対的に労働人口が少ないために経済が硬直化する一方、高齢者の福祉予算が増加することで、その国の経済が弱体化するとされている。また、民主主義政治はどうしても投票者を優遇する政策になる。その意味で、日本の人口に占めるボリュームも投票率も高い高齢者向けの政治がさらに加速していくことが予想される。いわゆる、シルバーデモクラシーと呼ばれるものだ。
さて、国政では今年、衆議院議員選挙が予想されている。政治資金パーティーの裏金問題により後がなくなった岸田首相が2024年の秋の自民党総裁選で圧勝、もしくは無投票で再選されるためには、秋までの「どこかの時期」に衆院選を断行し勝利をおさめておく必要があるためだ。
昨年、岸田首相が掲げていた最大の政策は「異次元の少子化対策」。昨年の岸田首相の年頭会見では「少子化問題は待ったなしの課題」という認識を示し、今後3年間を少子化対策の集中取組期間と位置づけ政策を検討してきた。解散総選挙との兼ね合いで流動的になった政界において、首相のこの政策が「実効性のあるものとして」結実するかどうかが、2024年以降の日本において非常に重要であることは間違いない。一方で自民党以外の既存政党の動向をみると、どの政党も多かれ少なかれ「少子化対策」に前向きな政策を掲げている。
衆議院解散となった場合、選挙では「何を争点として候補者や政党を選ぶか」が、今年はより重要となる。自分たちの世代に向けた手厚い政策か、それとも将来を見据えた取組みか、はたまた政策は関係なく、これまで応援してきた地元の候補者に投票するのか…。混乱が予想される日本の将来を私たちの1票が左右すると言っても過言ではない。2024年は民度が試される年になるだろう。