千葉でも被害拡大の恐れ!南海トラフ巨大地震に備える 【2024年9月号】
先月8日宮崎県沖日向灘で発生した地震により「南海トラフ巨大地震注意」という情報が初めて気象庁から発表された。日本での最大級の地震「南海トラフ巨大地震」は前回の発生から70年以上が経過しており、再び発生する可能性が高まっている。
「南海トラフ巨大地震」は静岡県の駿河湾から宮崎県の日向灘沖にかけて存在するプレート境界を震源域とし、およそ100~150年間の間隔で繰り返し発生してきた。もし「南海トラフ巨大地震」が起きれば被害は広域にわたり、千葉県でも最大11mの津波、最大震度5強の揺れが想定されている。地震調査研究推進本部地震調査委員会の長期評価によれば、今後30年以内にマグニチュード8から9クラスの地震が発生する確率は70~80%とのこと。
在宅避難を想定した各家庭の防災対策を紹介
内閣府の防災情報のページでは「災害に対するご家庭での備え」と題して、各自の防災対策を呼び掛けている。その内容は、家具の転倒防止対策、寝室や子ども部屋には、できるだけ家具を置かない、または背の低い家具にする、倒れた時に出入り口をふさがないように家具の向きや配置を工夫する、普段から飲料水や保存の効く食料などを備蓄するなど基本的な対策だが、実際にどれだけの人が実行しているだろうか? 発災時、自宅が安全で充分な備えがあれば在宅避難が可能だ。頻繁に発生する千葉県東方沖地震等で比較的地震に対しての意識は高い千葉県民、そこで今回は市民がどのような防災対策をしているのか、小さなことから大規模なものまで備えの一部を紹介する。
①コンパクトなソーラーパネルと充電器
太陽光を利用し災害時に扇風機などの小さな家電を動かしたり、ランタンとして灯りを確保できます。充電器は常に充電しています。携帯用にもう一台小さいソーラー充電器を用意しています。 (園生・M)
②防災トイレ代用品
マンションで一人住まいです。トイレが使えなくなった場合に備え便器に敷くビニール袋と凝固剤を30回分備蓄してあります。防災グッズとして売られている災害用トイレは値段が高いので100円ショップで購入しました。 (松波・K)
③各寝室に靴とヘルメットを
家族それぞれがベッドの引き出しや、ベッドの近くにヘルメットとスニーカーを置いています。ガラスなどが割れて床に落ちたときでも安全に移動するためです。(磯辺・A)
④土にかえるトイレ
数年前ですが、庭に埋めて土にかえるというペーパートイレを購入しました。まだ使用したことはありませんが、トイレが使えなくなったときのためにあると安心です。ゴミ収集が来ないことも考えて庭に埋められるという点が便利だと思います。(弁天町・M)
⑤ヘッドライト・携帯用水タンク・食品用湯せんビニール
移動の際に両手が空くようにヘッドライトを購入しました。食品を湯せんできる専用のビニール、携帯用水タンクは保管する場所を取らずとても便利です。(小仲台・W)
⑥雨の貯水タンク
水道が使えなくなったときのために雨水をためています。飲料水にはなりませんが、生活用水には使えます。
(中央区・K)
⑦太陽光システム
家族4人が普段使っている電気使用量をまかなえるように太陽光発電を導入しました。屋根に太陽光パネルを取り付け、充電器システムも搭載し大災害に備えています。停電でも太陽光または蓄電を使ってエアコンも稼働できます。初期費用が高額でしたが高齢の親もいるので家族の健康には代えられません。 (高浜・S)
⑧カセットコンロ
今や防災の必需品と聞いてカセットコンロを常備ました。以前、夏場は倉庫にしまい込んでいましたが、
現在は一年を通して取り出しやすい場所に置いています。カセットガスの備蓄も欠かしません。 (幸町・T)
⑨家具転倒防止
基本的なことだとは思いますが我が家は棚など高い家具にはすべて転倒防止策をしています。冷蔵庫にも忘れずに設置しました。 (山王町・A)
⑩カップ麺でローリングストック会
一人暮らしでカップ麺を常備しています。カップ麺は賞味期限が3カ月から6カ月とわりと短くローリングストック(使用して補充する)が必須ですが、以前はそれがおっくうでした。でも最近は、半年ごとに知人友人とカップ麺を持ち寄り、別に少しのおかずなどを用意してカップ麺のローリングストック会を開いています。持ち寄るカップ麺は普段買わないようないろいろな種類があり様々なものを食べることができます。これで賞味期限過ぎのものは食べて買い直しています。定期的に楽しくローリングストックができるのでよい方法かと思います。
(六方町・G)
⑪古いタオル
使い古したタオルを防災用としてストック。怪我の手当てや授乳隠し、寒さ対策など、いろいろな用途に使えます。 (長沼原・D)
以上、防災月である9月号では、市民から寄せられた防災対策を抜粋して紹介した。参考になったものがあれば読者のみなさんもすぐに実行してほしい。
~在宅避難のすすめ~
避難所には普段の生活に必要なものは何も用意されていないと言っても過言ではない。指定避難所であれば最低限の備蓄品は用意されているが、新たな物資はしばらく届かないケースも多いため、避難所に行くなら生活必需品はすべて自身で準備し持参しなければならないと思ったほうがよい。
また、プライバシーを確保するのが難しい避難所生活では、ストレスや過労で体調を崩す人も多く、避難生活の長期化によって健康状態が悪化するケースも。さらに大勢の人が集まる密な空間では感染症にも注意を払う必要がある。
これらを鑑み、千葉市も「可能な限り住み慣れた自宅で生活を続けられるように準備すること」を呼び掛けている。自宅やその周辺の安全が確認できた上で、自宅に水や電気などライフラインの代わりをまかなう手段と十分な備蓄品があれば、在宅避難を検討するべきだろう。