[千葉の原石]つばきジュニア 工藤彩楽さん(12)【稲毛新聞2025年5月29日号】

  2026/5/28
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「練習したら、美味しいアイスを食べような」つばきジュニアの鈴木監督にそう言われたことを、工藤彩楽さんは今でも覚えている。まだ小さい頃から彼女の周りにはいつもバレーボールがあった。父も母も、姉二人もバレーボールをしていた。
 
 0歳の頃から、姉たちの試合や遠征についていき、中高生になった姉たちの応援にも、両親の試合にも行った。だから、小学生になったらつばきジュニアに入るものだと自然に思っていたという。気づけばそこが自分の居場所になっていた。
 
 そんな彼女が今一番好きな時間は「練習後のおやつタイム」。少し汗が引いた体育館の帰り道、仲間と食べるお菓子やアイスだという。そんな微笑ましい彼女だがコートに立つと雰囲気が変わる。彼女の持ち味は「肩の強さ」。力強いスパイクとサーブは、チームの大きな武器だ。
 
 その強さは一人で作られたものではない。サーブの体重移動。スパイクのフォーム。助走の入り方。姉たちが何度も教えてくれた。試合を見に来れば必ずアドバイスをくれる。「嫌だなと思うこともあったけど、後になって、言われたことの意味がわかる」。ただ教わるだけではなく自分で考えながら理解していく。その積み重ねが少しずつ彼女を強くしてきた。
 
 一番悔しかったのは新チームになって最初の新人戦。目標はベスト4以上。しかし相手の高いブロックを前に弱気になり、仲間が必死につないでくれたボールを、思い切って打ち切れず二次予選で敗退。エースとしての責任を感じ挫折しそうになったが、彼女は逃げなかった。何が悪かったのか、振り返って練習したのだ。できなかったことを練習し、少しずつできるようになる。すると自信がつく。成長する選手は誰もがシンプルにこの繰り返しを実行している。
 
 将来の夢は春高バレーへの出場だ。そして、引退したら、つばきジュニアの仲間とパン・ケーキ・ランチのお店を開くこと。勝つことだけじゃなく、仲間と過ごした時間そのものを大切にしているから未来の夢の中にも、自然と「仲間」がいる。
 
 夢が叶ったら伝えたい相手は家族。そして「アイス食べような」と声をかけてくれた鈴木監督。今の彼女を支えてきた人たちだ。

 最後に「今の自分へ一言」を尋ねると「今はできないことも、一つずつ練習していけばできるようになるから頑張れ!」と答えた。まだ12歳。それでもこの言葉には、もう小さな実感が込められている。
 
 才能がある人とは、最初から完璧ではなく、悔しさを知り、考えて、少しずつ前に進める人のことだろう。千葉には、まだたくさんの原石がいる。工藤彩楽も、その一人だ。
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