[スポーツコラム]IPは人々の共感を集める知的財産 【稲毛新聞2026年6月26日号】

  2026/6/25
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作/千葉ドットCOO 梶原健

 最近、「IP」という言葉を耳にする機会が増えた。IPとは知的財産(Intellectual Property)のこと。しかし私は、IPを単なる権利とは考えていない。人々の共感を集め、応援され、長い時間をかけて価値を生み続ける存在。それが本当に強いIPとなっていくのではないだろうか。

 例えば、ドラえもん。子どもの頃に夢中になった人が親になり、今度は自分の子どもに見せている。ポケットモンスターもそうだ。ゲームから始まり、アニメ、映画、グッズへと広がり、世界中で愛されている。これらに共通しているのは、単なる商品ではなく、人々の記憶や感情の中に存在していることだ。だからこそ、何十年経っても価値を生み続ける。IPの本質とは、権利そのものではなく、人々との関係性にあるのだと思う。


愛されるIPは時代を超えて残り続ける

 世の中には毎日、新しい商品やサービスが生まれている。しかし、その多くは数年後には忘れられてしまう。一方で、ドラえもんやポケモンは世代を超えて愛され続けている。なぜ、その違いが生まれるのだろうか。 私は、人は機能だけで物事を選んでいるわけではないからだと思う。このキャラクターが好き、この世界観に共感する、この物語を応援したい、そうした感情が生まれたとき、その存在は単なる商品やサービスを超えた価値を持つ。
 
 近年はAIの進化によって、知識や技術の価値が大きく変化している。文章を書くことも、画像を作ることも、以前よりはるかに簡単になった。だからこそ、これからの時代はますますIPが重要になる。技術は真似できる。サービスも追いつかれる。しかし、人々から愛される存在を作ることは簡単ではない。時間をかけて信頼を積み重ね、多くの人々との関係性を築いたものだけが、本物のIPになれるのである。


スポーツにも世界的IPは作れる

 ドラえもん、ポケモン、ハローキティ、マリオなど、日本にはすでに世界に誇るIPが数多く存在する。一方、スポーツでも世界で活躍する日本人選手は増えている。しかし、クラブやリーグそのものが世界中から応援される存在になっているかと言われれば、まだ大きな可能性が残されている。
 
 私はそこに未来があると考えている。アニメやゲームのように、スポーツもまた愛されるIPになれる。試合結果だけでなく、歴史や文化、理念や挑戦に共感し、多くの人が応援したくなる存在。そんなクラブやリーグが日本から生まれても不思議ではない。

 前回のコラムで、私はバレーボールが世界一のリーグ、そして世界一のクラブを目指せる可能性について書いた。それは単に強いチームを作りたいからではない。スポーツを通じて、日本から世界に誇れるIPを生み出したいからである。人々に愛され、応援され、世代を超えて価値を生み続ける存在を作ること。それはビジネスでもあり、文化を育てる営みでもある。
 
 アニメやゲームに続き、スポーツの世界からも世界中の人々に愛されるIPが生まれる。そんな未来を私は創っていきたい。そこには、日本の新しい可能性があるように感じている。
梶原 健プロフィール

1980年生 千葉県船橋市出身
2010年Bリーグ千葉ジェッツを創設、以降Jリーグアビスパ福岡社長代行、ラグビーNECグリーンロケッツ東葛代表など各種プロスポーツチームの経営に参画。25年千葉ドットCOO就任。一方で公益財団法人日本センチュリー交響楽団の代表理事を務めるなど文化芸術分野にも精通。
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