行田中学校でジェンダーにも配慮した新制服の披露会、創立以来のフルモデルチェンジで「着たいと思える制服」へ
9/3(土) 行田中学校でジェンダーにも配慮した新制服の披露会
創立以来のフルモデルチェンジで「着たいと思える制服」へ
行田中学校(船橋市行田3-6-1、TEL 047-439-2118)で9月1日、創立以来のフルモデルチェンジになる、ジェンダーなどにも配慮した新制服の披露会が行われた。
同校は1976(昭和51)年に創立。2020年度からは女子もスラックスの着用や、昨年末からは女子もリボンだけではなくネクタイを付けられるようになるなど、選択肢を増やしてきた。
今回、完成した新制服を在校生に披露するため、図書室と各教室をオンラインでつなぎ、全校生徒約1000人が参加しての発表になった。
最初に、プロモーションビデオが流された。モデル役としてビデオにも出演していた生徒会役員が新制服を着用し、教務主任で自らもトランスジェンダーを公表している永井恵先生が説明。
制服の見直しに当たっては、制服の「平等性・経済性・利便性」を尊重しつつ、窮屈さや個性に欠ける面などの意見もある中、PTAも含めた制服検討委員会を立ち上げ議論してきたことを話した。
新制服は、着続けられる機能性やデザイン性に、丈夫でメンテナンスが容易なこと、交通安全の配慮から反射材を使う工夫がされている。さらに、大きな特徴である多様性への配慮として、ブレザー・スラックス・ネクタイが基本スタイルになり、リボン・スカートは誰でも選択できるオプションになる。
女子だから「かわいい」、男子だから「かっこいい」ではなくてもよく、自分らしさを表現できる制服の選択肢を提供したという。永井先生は「自分も制服を着ることが苦しくて、学校に行かなかった時期がある。男子の制服を着ることで、男子として見られて扱われることが本当に苦しかった。でもそれは、自分が着たいと思える制服を自分で選べないことが問題だったんだと思う」と話す。
戸籍上の性別に関わらず、自由に制服を選べる社会にするためにも、「社会の理解がないから学校はやらない」のではなく、「社会に理解を広げていくために、まず選択肢として学校が用意すること」が大事だと説く。
新制服は2023年4月から着用が始まる。生徒会長の3年生阿部夢叶さんは「自分も着たかった」と微笑み、会計の3年生加藤岡直人さんは「これまでのよりも軽く、動きやすい」、書記の2年生伊藤詩穂梨さんは「エンブレム、ボタンもおしゃれで、3年になったときブレザーを選択すると思う」と話した。
エンブレムとボタンはそれぞれ2種類のデザインを用意し、最終的には全校生徒による投票を生徒会本部が実施し決定したという。
校長の大場雅俊先生からは、どんな生徒も学校生活を送りやすいように、制服の選択制を導入したことが伝えられた。さらに、「男女の違い、国の違い、年齢の違い、考え方の違い、みんな違ったっていいんじゃないかなと思います。当たり前だと考えてきた事柄がそうではないということを、各自が考える機会になってほしいと思います」と締めくくった。