船橋市南部・西浦の物流センターが集まる地域に人工光型植物工場の「PLANTX」、植物の力で社会を変えるための研究を
11/25(木)船橋市南部・西浦の物流センターが集まる地域に人工光型植物工場の「PLANTX」
植物の力で社会を変えるための研究を
船橋市内南部にある物流センターが集まる西浦地区に人工光型植物工場の開発を行うベンチャー企業「PLANTX(プランテックス)」が今年、船橋市内に拠点(船橋市西浦3-1-3、TEL080-1360-0465)を構えレタスの計画生産を開始している。
同社は、人工光型植物工場の企画や設備導入・立上げ・運営サポート、植物の栽培条件に関する研究や植物の生産・販売などを手掛けるベンチャー企業。設立は2014年6月。代表の山田耕資さんは、小学生の頃は葛飾小学校に通っていたという船橋市内出身者。
東京大学大学院を経て、父・眞次郎さんが創業したものづくり現場の生産工程改革で知られる株式会社インクス(1990年創業)に入社。しかし、リーマンショックのあおりを受け同社は2009年に民事再生法適用を申請。
その後、日本とアメリカでスタートアップ企業の創業などを手掛ける。2013年に人口光型植物工場に出会い「世界を大きく変える革新的な技術だ」と感じ技術者の仲間らとともに2014年に株式会社プランテックスを創業。
「植物工場は、屋内に棚を設置し空調やLEDなどで生育状況をコントロールするというもの。風の当たり具合や、棚の位置などによって気温には最大5℃ほどのズレが生じています。これによって場所ごとの生育状況が変わったりして安定供給が難しくなります」と耕資さん。「1℃違うと生育が10%変わるというデータもあります。また、5℃違の違いは許容できる差ではありません」とも。
一方、同社が手掛ける「密閉型」では、棚を個別に密閉し「温度」「湿度」「光強度」「気流風」など20項目に及ぶパラメーターで管理する。密閉された狭域を管理することで、緻密な環境管理が可能となる。温度や湿度に加えて光合成速度や吸水速度など様々なデータを細かく収集する。パラメーターを様々に組み合わせることで、植物の生育にとって最適な環境を模索していく。
栽培に使用する種子は一般的に使われているものと同じだが、様々な成分含有量などもコントロールできるようになる可能性があるという。種子が本来もつパフォーマンスを最大化させる栽培方法であり、遺伝子組み換えとは全く別の手法だという。
レタスではこれまでの植物工場と比較して栽培面積あたり5倍程度の生産性を実現することで、収益性の面でも優れた提案が可能となる。今後はレタス以外にも栽培種目を広げていく予定だという。
「レタスは根っこ以外ほぼ全て食べることができ『可食部割合』が高く、植物工場に向いていました。根菜類や果菜類など、様々な植物にチャレンジしていきたいと考えています」(耕資さん)
また、工場栽培が事業化する事で工場栽培専門の付加価値が高い野菜の栽培や品種開発も可能になってくる。密閉されているため病害虫や災害に弱い品種も育てることができる可能性があるという。
更に、「植物の安定供給ができるようになれば、医療・美容・健康の分野で植物由来の様々な新しい商品が出てくるものと期待しています。まだまだ様々な可能性が広がります」と耕資さん。