No.97　心を育む書道教室～『書彩栞』～　茂原市

2024/10/15


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書道教室「書彩栞」は、9年間にわたり子どもたちに「書くこと」を通じて心を育む場を提供してきました。技術向上だけではなく、書道を通じて自己を表現し、成長を実感できる時間を大切にする石野先生。その指導理念や教室の雰囲気、そして10周年を迎えるにあたっての思いを深く掘り下げます。子どもたちの成長を見守り続ける情熱と、教室が目指す「心の豊かさ」とは

書彩栞（しょさいかん）の意味と活動への想い

「書彩栞」という名前には、人生に彩りを与える「しおり」を意味しています。この「しおり」は道しるべとして、子どもたちが自分自身と向き合い、豊かな心を育んでほしいという願いを込めています。「書くこと」を通して自己を表現し、自分の考えや気持ちを認識する体験が大切だと、石野先生は考えています。それは、単なる習字の技術向上にとどまらず、内面の成長に繋がるものです。

日々の指導で最も喜びを感じるのは、子どもたちが成長する瞬間に立ち会うこと。1時間の間でも、最初と最後に書いた文字が違ってくることで、彼らは自分の成長を感じられます。そうした表情を見ると、石野先生もまた、教えることの喜びを実感するのです。もちろん、反応が控えめな子どももいますが、その一人一人の成長を見守ることが石野先生のやりがいになっています。

9年間の歩みと10周年に向けて

石野先生が運営する「書彩栞」は、今年で9年目を迎えます。12月には10周年の節目となり、石野先生にとって大きな意味を持つ時期です。最初に通い始めた子どもたちはもう高校生となり、その成長を見届けることは石野先生にとって感慨深い出来事となりました。先日、ある高校の文化祭で教え子たちの作品を見たとき、その進化と成果に胸を打たれたといいます。

一人で教室を運営するのは大変なことも多いですが、それでも続けてこられたのは、長く通ってくれる子どもたちがいるからこそ。と感謝の気持ちを述べていました。

教室は継続と成長を見守る場所

石野先生の教室は、ただの書道教室ではありません。子どもたちが安心して成長できる居場所として、書道を通じて心と向き合う時間を提供しています。生徒一人一人が自分自身の成長を感じられるよう、温かく見守りながらサポートすることを大切にしています。

指導へのこだわりと柔軟な対応

書道の指導において、石野先生は「ただたくさん書けば良い」という考え方をしません。1日に20枚の書き取りを課すのではなく、少しずつでも自分の字と向き合い、丁寧に書くことを大切にしています。書道を通して「書くことの楽しさ」を見つけることこそ、子どもたちの成長に繋がると考えているからです。

また、指導する際は、子どもたち一人一人の個性やペースを大切にし、その子に合った指導法を取り入れています。新しい生徒を募集する際も、信頼を大切にし、紹介による参加を重視しています。石野先生は、生徒と深い信頼関係を築くことが、書道を通じて心の成長を促す上で重要だと感じています。

やる気スイッチではなく「やりたいスイッチ」を押す

「やる気スイッチ」という言葉がよく使われますが、石野先生はそれ以上に、自然と芽生える「やりたいスイッチ」の大切さを感じています。教室で自由に書ける時間を設けることで、子どもたちが「これを書きたい！」という気持ちが湧き上がる瞬間を大事にしています。それは、石野先生が押し付けるのではなく、子どもたち自身が見つける「やりたい」という意欲から生まれるもので、その瞬間にこそ本当の成長があるのです。