第2回 矢島優子さん(ゆうこさん)

  2026/4/14
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千葉市海まつり協議会(愛称:チーム海machi)には「かつて目の前に海があった=“海まち”文化を未来へ継承しようと、とってもステキな人たちが参加しています。「海machiのひとびと。」では毎回、メンバーに「スマホにあるお気に入り画像」「地域の好きなところ」をお伺いし、メンバーの熱い想いとみなさんへのメッセージをお伝えしていきます。第2回のインタビューは今年、千葉開府900年を記念して光の演出を担当する照明デザイナー・矢島優子さんです。

千葉市の“埋立地”に住んで19年になります

生まれは神戸市で、有馬温泉の近く。大学で東京・武蔵野美術大学に進学、そのまま都内の会社に就職して、結婚を機に千葉へ。千葉みなとに3年住んで、それからは美浜区へ。気づけば千葉市の埋立地に住んで「19年目」になります。

きっかけは、コンサート照明

この仕事を目指したのは中学生の頃、姉に連れられて行った松任谷由実さんのコンサートでした。そこで見た照明が衝撃的で、綺麗っていうより、平衡感覚がグラグラするような…「なんだ、この得体の知れないものは!?」って驚いて。自分で使いこなせるようになりたいって思ったんです。

武蔵野美術大学では、日本のライトアートの草分け的存在、逢坂卓郎先生のもと、光の作品を制作していました。卒業後は内装業界でずっと照明の設計ですが、学生時代は作品制作が中心で実務的なことをあまりやってこなかったので、社会に出てから苦労しましたね。CAD・電気・積算などイチから勉強して、資格を取って…。社会人になってからのほうが、勉強したことの量は多かったかもしれません。

担当したのは横浜市の子ども向けミュージアムなどの照明設計、美術館や博物館の企画展、企業のショールームの照明デザイン。実は社内に照明の専門部署があったわけじゃないんですけど、「やりたいです!」って言い続けてたら、照明の仕事がいっぱい来るようになりましたw

“光”で地域をつなげる

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こども食堂「えがおでごはんtomoカフェ」末広町民館

独立したのは2年前で、去年4月に法人化をしました。現在は照明デザインのほか、ランタンを制作して、光で空間をデザインする体験型のワークショップもやっています。今回の御浜下りでも今年2月から月1回、第4日曜日に末広町民館で開催される子ども食堂でワークショップをしていて、地域のみなさんにランタンをつくってもらっています。予定では200個、御浜下りの当日、千葉みなとの浜に飾る予定です。

私の原点は、リヨンの「光の祭典」

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フランス・リヨン「光の祭典」2017年

スマホのお気に入り画像は、2017年にフランス・リヨンの「光の祭典」に行ったときに撮ったものです。大学の頃からの憧れの祭典で、街のあちこちに光の作品があって行く前は綺麗で楽しいお祭りだと思ってたんです。でも、実際に行ってみたら、1852年、疫病が流行って「良くなりますように」と願いを込めて始まったお祭りだと知って。…深すぎるなって思って。追悼の場でろうそくを灯すみたいに、光は祈りと近いところにあるのかもしれない。

そのとき、気づいたのが「私がやりたいことって照明の先にあるんだな」っていうことでした。照明を使って、誰かが少しでも前を向けるようにしたい、幸せになってほしい。そういう「誰かへの貢献」といった、照明の先にある“何を”届けたいのか”、自分の中の基準を言葉にできた大事な体験となっています。

また、リヨンは街全体が“光”でつながっていることにも驚きました。映画の発祥の地でもあったり、「光の祭典」を通じて照明機材の企業が集まったり、光を起点として産業も発展していて…。歴史や祈り、産業、観光、すべてが光でつながって街ができている、それがすごいなと思いました。だから、仕事で提案をするときも「こんな見せ方があるんだよ」と伝えるために、この写真を見せることがあります。

御浜下りとの出会い

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「御浜下り」2024年

今から1年前、起業家セミナーに参加して、みんなの前で「千葉で光の祭典をやりたい」って話したんです。そしたら、声をかけてくれた人が何人かいて、その中の一人が千葉市海まつり協議会代表の鈴木年樹さんでした。

年樹さんから「御浜下りは1年間の穢(けが)れを海に入ることで、自然の力で落とすんだ」と聞いた瞬間、「わ、すごい!」と思って。私は美浜区の埋立地に住んで長く都内で働いていたから千葉のことをあまり知らなくて、単純に「そんな素敵なお祭りが千葉にあるんだ」って驚いたのが最初でした。そして、海に入るビジュアルがめちゃくちゃかっこよかったので、光の演出のアイデアが頭の中でわーっとあふれてきて! 2-3か月後には演出のプランを持って、年樹さんを訪ねて寒川まで行ってました。

後になって、寒川が抱えてる問題とか、御浜下り自体が地域の負担になってる現実とか、新しい住民が入ってきても無償の活動には参加しにくい時代だとかを知って…。少しでも地域が良くなるために、光の力が使えたらいいなって。私の中でリヨンの光の祭典と寒川の御浜下りがつながって「やらねばならぬ」という想いが強くなって、この1年、手弁当でやってますw

埋立地でも“森”は育つ

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五十嵐靖晃「海風展」2024年千葉県立美術館

この地域で好きなのはポートパークです。千葉に来たばかりの頃は正直、土地への愛着があんまりなかったんです。埋立地だし、つながりも希薄な感じがして。「千葉って何もない」って、どこかで思ってました。

でも、2024年、久しぶりにポートパークに行ったとき、見え方が変わりました。森が深いというか。もう、もはや森になってるんですよ。子どもが小さい頃によく来ていたポートパークは新しく作られた、小ざっぱりした公園だったはずなのに、年月を経て、ちゃんと“いい森”になっていて。夏は涼しくて、それだけで気持ちが変わる。

しかも、この時、森の斜面一面に五十嵐靖晃さんの「海風展」の作品「風の子」が飾られていて、「やっぱりこの公園いいな」ってすごく思ったんです。埋立地でも、森は育っていく。時間が積み重なって、景色が変わっていく。その変化をちゃんと感じられたことが、私にとって地域の魅力になっていきました。

みなさんへのメッセージ

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2026年御浜下りイメージ(作図:矢島優子)

今年の御浜下りは千葉開府900年を記念して、海色の光と地域の皆さんが創ったランタンで彩る予定です。

御浜下りを見たことがある人も、ない人も、今年は一味違うのでぜひ見に来てほしいです。

そして、地域の方には感謝の気持ちが大きいです。突然来た地域外の私に、御浜下りの演出やランタン作りを「やっていいよ」って言ってくれて、受け入れてくれて。御浜下りや地域がもっと良くなるように、一緒にやっていきたいって思っています。応援してもらえたら嬉しいです。

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地域の皆さんがワークショップで制作したランタン

地域の良さって、近くにいるほど気づけないことがあると思います。でも、関わってみて初めて見える景色がある。関わらないことには何がいいとか悪いとかもわからないし、関わることで視野が広がる。その先で、この土地を好きになっていけたら…。私は光で、そのきっかけを増やしていきたいと思っています。

光は、当たり前にそこにある。普段、意識していないけど、光は幸せを与えてくれる。光はすごい楽しいし、綺麗なんだよ。だからこそ、祈りといった、目では見えない“想い”まで照らして、目の前にいる人と“幸せ”を創っていくことができると信じています。

このインタビューは公式Instagramでも配信中! フォロー&応援をお願いいたします。
千葉市海まつり協議会 公式Instagram

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