市船野球部が28年ぶり春季千葉県高校野球大会制覇、夏に向け「県外の強豪校と1戦でも多く経験を」
5/7(土)市船野球部が28年ぶりに千葉県優勝
銚子商業高校を零封、関東大会へ
第75回春季高校野球大会の決勝戦が5月4日、千葉市総合スポーツセンター野球場で行われ、市立船橋高校が銚子商業高校と対戦し3対0で勝利、28年ぶりに春季高校野球選手権千葉県大会の頂点に立った。
試合は、5回まで両校とも無得点のまま進行。6回・谷藤汰樹選手(3年生)の三塁打で市船が2点を先制、次いで8回にも谷藤選手の犠打で1点を追加し勝利を決定づけた。
先発投手には1年生の工藤将祐選手を起用。入学したばかりの1年生投手は、打者1巡を1安打に抑える活躍を見せる。また、3回途中から登板した森本哲星選手(3年生)も、銚子商業打線を零封し勝利に貢献した。
目標を見据えたチーム運営が功奏
2年目のシーズンとなる海上雄大監督。「今大会の目標は、『県外強豪校との対戦』。夏の甲子園を見据え、1試合でも多く強豪校との公式戦を経験してきたい」と、関東大会への意気込みを語る。
目標設定と目的の共有をテーマにチーム運営を行ってきたという海上監督。「今のこのきつい練習が、『どの時期の何を見据えたものなのか』ミーティングで明確にしています」。先を見据えることで「ピンチの時でもあっけらかんとしている。チーム全体の雰囲気が明るい」と、監督が評するチームの土台が作られてきた。
今年の選手たちが立てた目標は「甲子園で市船の校歌を歌う」。少なくとも甲子園で1勝しなければ校歌を歌うことはできない。必然的に関東大会の目標が、「県外強豪校との公式戦で試合する」と、定まった。
コーチ陣を分業制にしフィジカル、内野、バッティング、ピッチング…と、役割を明確にした。「選手たちがうまくいかない時のほとんどは『体のズレ』が原因。自分のことをわかっている人がいてくれることで、波が下がってきた時でも戻してくれる」という環境を整えた。
「選手たちが、『早くグラウンドに行きたい』と思ってもらえるよう、スケジュール管理など各種の環境整備をするのが私たちの役割」と、監督であるとともに、公立高校教員として学校生活と部活動の両立も心がける。
今季からOBや関係者らが中心となって市船野球部の後援会も設立。SNSなどを駆使して情報発信なども行っているという。「市船の武器は環境でもお金でもなく『人』だと考えています。周囲の方々や関係者の皆様が少しでも市船野球部に気を向けてくれる事で生徒たちも私たちも頑張れます」と海上監督。
県外で初演奏される応援曲「市船soul」
5月27日から全国ロードショーが決まっている映画「20歳のソウル」。原作となったノンフィクション作品「20歳のソウル~奇跡の告別式、一日だけのブラスバンド~」(小学館:中井由梨子著)では、市船吹奏楽部在籍中に主人公の浅野大義くんが「市船野球部を応援する曲を作りたい」と応援曲「市船soul」を作曲したくだりが描かれている。
これまでも市船野球部がピンチになった時には、数々のチャンスを演出してきた「市船soul」。「神応援曲」としてSNSなどでも話題になっているが、千葉県外での野球部の応援に生演奏されたことはないという。今季は、球場での「観戦」は許可されているが新型コロナウイルスの感染拡大を懸念から「声援」は禁止、しかし「演奏」は行ってもよいというルール。
野球部の関東大会での活躍はもとより、原作のファンや吹奏楽ファンの間では「市船soul」の県外初披露も大きな注目を集めている。同校吹奏楽部顧問の髙橋健一さんは、「関東大会での演奏について学校の許可を得ることができました。保護者と相談の上で応援に行くメンバーを確定させられれば」と弊誌記者の質問に回答した。