松戸市で開催された「人生100年時代の人生計画と幸福について」にいってきた。
松戸市・松戸市教育委員会とまつど市民活動サポートセンターが主催する形で、松戸市民劇場(松戸市本町11-6)を会場に5月24日、公開講座「人生100年時代の人生計画と幸福について」が行われた。
2部制で行われた公開講座、第1部に基調講演の講師として登壇したのは民間初の公立中学校校長を務めた藤原和博さん。この日、会場の定員は100人、オンラインでは200人が視聴したという。
藤原さんは、高い専門性を買われリクルート社で初の「フェロー」に就任、53才で都立和田中学校の校長に就任。教育改革を掲げビジネスマン時代に培った企画力、営業力、人脈を生かして「地域学校共同本部」を開設。「土曜寺子屋」「図書館改造」「よのなか科」など地域人材を活用した教育手法を確立した。
今回の公開講座は、松戸市が行政主導の市政から民間人材と協同での市政を実施するため市民及び市内在勤・在学の人たちに対して公募している「まつど地域活躍塾」の一環で行われた。
基調講演冒頭に藤原さんは、自身が歌手の「さだまさし」さんと似ていることにふれ、60代以上が中心の参加者らを笑わせるところからスタートした。「今後10年間に社会がどのように変わっていくのか」を学校教育の分野では「アクティブラーニング」が採り入れられ、これまでのように知識詰込み型の「情報処理力」を高め、正解を導き出す教育から「情報編集力」を主体とした「最適解」を見つけ出す教育に変わっていく事などにふれた。
また、社会ではAI化ロボット化によって大きな変化が生まれ、「これからなくなる仕事」「今後も無くなりにくい仕事」「新しく生まれる仕事」について見分け方を共有。参加者らの世代が見てきた社会構造とこれから大人になっていく子どもたちを取り巻く社会構造の変化についても紹介した。
これまで、
「これからなく無くなる仕事」について、これまでの社会で求められてきた「情報処理型の正解を導き出す仕事」を挙げ、鉄道会社に例えた場合「自動改札」が普及したことで「切符を切る仕事」が亡くなった事を例に挙げた。さらに、今後10年で「運転手」や「車掌」の仕事はどうなるか、「車両整備の仕事」「ダイヤの運行管理」「駅長」などにも範囲を広げ現在持っている知識を他の知識と掛け合わせることで仮説を立てる方法などを紹介した。
そうした社会変化をふまえた上で「情報編集力」を身に付けるには10才くらいまでの間にどれだけ『遊び』を体験してきたか、海外などの別の概念や習慣が当たり前になっている場所で暮らしたか、本物を体験できる『聖地』や『本場』に足を踏み入れたかなどが必要」と力説。
さらに、縦の人間関係を「柱」、横の人間関係を「梁(はり)」と建築に例え「柱と梁だけだとすぐに壊れちゃう。筋交いのように『斜め』の関係が必要。たくさんの斜めの関係を築くのが地域社会」と定義した。
藤原さんは、斜めの人間関係を築く場として学校を解放、「土曜日寺子屋」で教員志望の大学生に子ども達を教えさせ、「図書館改造」で地域の本好きな主婦たちに図書館の運営を任せ、「よのなか科」の授業をすることで学校では教育しない、学校教育ではふれにくいテーマについての議論を通じて「考える力」を身に付けさせてきた。
第2部「地域とつながる人生のススメ」
休憩をはさみ第2部は、実際に松戸市内で行われている事業について事例の紹介が行われた。小金原地区の会長・渋谷寛之さん、こがねはら子ども食堂やフードバンク、学習支援などを手掛ける高橋亮さんがパネルディスカッション形式で登壇。
渋谷さんは、青年部を意図的に「勝手に」設立し、シングル家庭の支援などを目的とした子ども達とのコミュニティのハブとして「太鼓」を活用した事例を紹介。近年、町会の役員に就任した高校生女子2人を例に挙げ斜めの人間関係構築に自治会が果たす役割を語った。
また、高橋さんは10年ほど前に松戸市内に移住し、実際に子どもの「貧困」を目の当たりにしたことが、子ども食堂を始めたきっかけにつながった事、居場所を作る事、子ども達と長く付き合っている事で節目に戻ってくる場所を用意しておくことの大切さと逆に子ども達から受け取るものの多い事などが地域活動を続けるモチベーションになっている事を語った。