No.19 里山が結ぶ自然と人の繋がり「ディーセント・ライフ里山事業部」茂原市早野

  2022/7/14
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以下は 2 年前に書かれた内容です

最近「里山改善」という言葉をよく耳にします。里山を蘇らせることで、一次産業(林業・農業・酪農・畜産・漁業)に循環が生まれ、洪水や土砂崩れを防ぎ、経済も生活も豊かになるのだと言います。
私自身、2019年、2度目の水害を経験してから、環境についての意識が高まりました。
そこで今回、毎月第1日曜日に行われている茂原市早野のNPO法人ディーセント・ライフ主催「里山改善オープンデー」に参加してお話を伺ってきました。

移住者と地域を結ぶ交流の場

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参加してみてまず驚いたのは、13名の参加者のうち半数が東京からの参加者や長生郡市に移住されて来たばかりの方達だったことです。
今年の初めに長生村に移住されて来たばかりで、半農半Xを実践しながら、こちらの里山改善オープンデーに毎回参加されているという、松葉さんご夫妻にお話を伺いました。
記者:こちらの活動に参加したきっかけはなんですか?
松葉さん:山、川、海、全ては繋がっていて、里山の改善は、私たちの畑にも関係してくるし、
土壌改善にも興味があって、いろいろと教えてもらえるので毎回参加しています。
松葉さんご夫妻の他にも、午後から私と入れ違いで作業に参加された男性は、やはり2月に茂原へ移住されて来たばかりだそうで、「里山改善」が地域と移住者や都内から訪れる人たちの、交流の場となっているのですね。



人の繋がりがつくる「循環」による里山改善

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こちらの里山改善オープンデーで講師を務めるのは「アウラモバラ」の今野さんです。「アウラモバラ」は茂原市を中心に里山改善や農業振興を楽しく伝える活動をしているグループです。里山改善オープンデーでは、毎回あるものを活用し、土壌改良などの技術を実践で学ぶことができるそうです。
参加した当日は、土壌改良マウンド作りを体験しました。
段切りという作業で出た土が盛られた周囲に、焼き杭をうち、マウンドを作っていきます。
土壌改良には、この場所で切り出し焼いて作った竹炭や、ゴルフ場から回収してきた落ち葉、知人宅で伐採し処理に困っていた枝ガラなどを引き取り、活用していました。
土と木と水が繋がっているように、地域の人の繋がりから「循環」がうまれ、「里山改善」に結びついている事を実感しました。
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小さなマウンド作りから学ぶ「本来あるべき姿」

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マウンドとは、土、落ち葉、竹炭などを重ね合わせ作り上げる場所で、その小さなマウンドに、環境づくりの全てが詰まっていると感じました。
微生物が住みやすい環境を作る事で、空気や水の通り道ができ、その土地の保水力が高まっていきます。
荒廃し呼吸ができず、水を受け止められなくなった山から、滝のように水が流れ、災害が起こります。
本質を理解して、そこを正していかなければ、本当の意味での解決にはなりません。
地道で果てしなく思えますが、私たちの生活を守る為に必要な事だと感じました。
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里山で頂く持ち寄りランチ

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お楽しみランチタイムのご飯も、切り出した竹を使い焚き上げています。お皿も竹を加工したもので、食事を終えたら燃やすことができ、ここでもまたあるものを活かす工夫がなされていました。熱中症予防の為の自家製梅干しや、参加者が育てた野菜など、それぞれが持ち寄り贅沢なランチが完成していました。この日初めて頂いたビーツの丸焼きは、とろける食感と甘みで驚きの美味しさでした。

「竹×スキル」で完成した募金箱

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現地の入口付近には、募金箱が設置されていました。実はこちらの募金箱も、切り出した竹を使い参加者が作ったものなんだそうです。講師を務めたり、ご飯を炊いたり、野菜を差し入れたり、募金箱を作ったり・・・それぞれの経験やスキルを交換し合う事が「里山改善」に結びついているんですね。募金して頂いたお金は、植樹や土壌改良に必要な道具や資材、苗木の購入に利用しているとのことです。
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幾度となく水害を経験している茂原。「里山改善」は、そこに住む人たちと、都会からの参加者や移住者たちの貴重な交流の場になっている事を初めて知りました。
講師の今野さんは、「もう一度山を見直し、竹林整備や植樹などをして、人間と里山の距離を近づけたいですね。」とおっしゃっていました。
今後は、森再生の為に竹を使ったドングリポットの苗木育成や落葉ステーション作りなども予定しているそうです。
難く考えず、一緒に汗をかき、青空のもと、美味しいご飯を食べて、そこで交流が生まれ、「里山改善」に繋がっているのなら、また是非参加しようと思いました。

取材・ライター 川﨑佐知子
以上は 2 年前に書かれた内容です
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茂原市周辺を拠点に仕事や地域活動などに取り組む女性たちが集まって編集部を結成! 茂原市&周辺地域の人、物、場所、イベント、ニュースなど...
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