江戸川区篠崎の住宅街に「いっぴん食堂」登場、全国各地の「逸品」が集まる自販機とは。

  2022/10/2
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こんにちは。船橋市地方卸売市場内でタウン誌の編集やインターネットニュースの編集をしている傍らで編集部の1階を「市場カフェ」というコミュニティスペースとして稼働させているやまけんです。今回は江戸川区の篠崎駅近くにある「Tokyo Bento Labo」を経営する関克紀さんを訪ねてきました。

都営地下鉄新宿線篠崎駅から徒歩3分ほどの住宅地にある「Tokyo Bento Labo」(東京都江戸川区篠崎町7-11-1、TEL03-5636-1451)事務所前に全国各地の名産品集めた自動販売機「いっぴん食堂」が設置され、9月30日から営業を開始した。

「いっぴん食堂」は、全国各地の「逸品」と各家庭の普段の食卓にもう「一品」を追加出来たらという思いから命名。未利用魚を活用したメニューや規格外の食材を活用した惣菜など全国のアイディア商品が並ぶ。

全国から集まった逸品惣菜

近隣に住む主婦のHさんは、「何でこんなところに自動販売機ができたのかしらって不思議に思っていたのよね。信号待ちする時にいつも気になっていたの。黄色いから目立つでしょう」と稼働前からチェックに余念がない。

抜け道の交差点にあり信号待ちの際に気になる黄色い自販機

「Tokyo Bento Labo」は、食関係の雑誌編集者を経て、各地の自治体や大手企業からフードメニューの監修などを依頼されるフードプロデューサーの関克紀さんが運営する事業の一つ。

普段は医療機関や福祉施設向けの仕出し弁当製造販売や給食を中心に調理する工場としての稼働がメインだが、コロナ禍に新規事業としてレトルト商品や冷凍食品のテストキッチン事業もスタートさせた。

関さんが現在の工場を運営する事になったのは3年前。前オーナーが廃業を検討しているのを聞きつけ従業員と設備、取引先を含めて事業承継した。

セントラルキッチンとして稼働を始めた工場

同工場は当初、弁当チェーン20店舗、寿司チェーン5店舗のセントラルキッチンとして立ち上げたという。近年は、事業縮小傾向に持っていっていた矢先でああったが、事業承継直後にコロナ禍が到来。弁当の注文が激減したところからのスタートとなった。

長年、仕出し弁当や寿司など多くの米を炊いてきた同工場の施設と熟練スタッフたち。フードプロデューサーとして全国の米を監修してきた関さんの出会いに対して、コロナ禍は「冷めてもおいしい」「炊いてから6時間後くらいにおいしい」ここにしかない「特別なご飯」を追求する為にたくさんの時間を用意してくれた。

20年選手のアナログ管理なご飯釜、ブレンド米を炊くのに向いているという

各種の米をブレンドしておいしく炊ける「20年来のアナログなご飯釜」と、大量のご飯を効率よく炊ける「最新式AI制御のご飯釜」、両方の長所と特徴を駆使して「おにぎり」と「弁当」を製造。現在は「ご飯に強い」という長所を利用して大手ホテルなどの和朝食、鉄道会社の駅弁レシピ開発なども手掛けている。

AI制御の最新式ご飯釜

コロナ禍に弁当の注文が減った事で最新式のご飯釜2基を導入することができ、仕込みスタッフが4時からの入り時間だったものが6時からで良くなった。導入に際し、補助金も活用、ほぼ2年間で購入資金は回収する事が出来たという。最大稼働時の炊飯能力は1日1500食分を超えるという。

米は長野県の生産農家から直接購入。「新潟のコシヒカリは炊き立てはおいしいけど、時間が経ったときには長野県産の方がおいしい。弁当は6時間後においしいかどうかが重要」とこだわりをみせる。こうした細かい気遣いが大手企業を引き付ける。「ご飯を変えるだけでおかずはそのままでも十分にメニューをリニューアルした以上の効果を感じさせることができるんです」とも。

レトルト食品と冷凍食品のテストキッチン

加熱殺菌の機械(写真左)とスチームコンベクションオーブン

Tokyo Bento Laboはコロナ禍に、レトルト商品と冷凍食品の加工設備事業も新規に立ち上げた。こちらも助成金を活用し、真空パックや瓶詰めした食品を加熱殺菌する設備に加え、瞬間冷凍設備なども購入。

真空パックの機械

「これまでにも小ロットに対応してくれるテストキッチンが必要な局面は多数ありました。コストに合わないのでなかなか受けてくれるところがなかったので自分で作ってしまいました」と関さん。

20年使っているとは思えないほどピカピカの厨房

関さんの加工所では、白米が凍結する前後もしくは解凍前後の含有水分によって白くなってしまう「白蝋化(はくろうか)」問題もクリアした。冷凍食品には「焼きおにぎり」や「チャーハン」などの油分を多く含んだごはんものはあるが、「白米本来のおいしさ」を味わえるものは多くない。

一方で炊飯してからの劣化を考えると、ロスはある程度覚悟の上で商品化する事がご飯に関しては必須だった。関さんは、おにぎりに使用する米をブレンドする事で粒の大きさを利用し、冷凍にかかる時間を極力短くし、解凍にも工夫を加え「冷凍保存可能な白米」を実現させた。

こうした商品一つ一つへのこだわりが形になったものが「いっぴん食堂」の商品としてラインナップされている。ほぼすべてのメニューが関さんと現地の生産者や料理人とのコラボの結晶。「おいしいものを食べてもらいたい」という食へのこだわりが「レトルト食品と冷凍食品」の加工事業を生み出し、これを販売・マーケティングする事ができる「いっぴん食堂」事業へとつながった。

会社名:Tokyo Bento Labo
住所:東京都江戸川区篠崎町7-11-1-1階
TEL:03-5636-1451
営業時間:
定休日:不明
駐車場:事務所前に数台分、近隣に無料駐車場あり

主婦と高齢者で千葉を編集する
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2009年、千葉県船橋市でタウン誌「ふなばし再発見!!マガジンMyFuna」創刊、同時にローカルニュース「MyFunaねっと」配信開始。その後、2011年にみ...
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