船橋市内学校初の池上彰さんによる特別授業、習志野台中学校で「なぜ僕らは働くのか」をテーマに
12/5(日)船橋市内学校初の池上彰さんによる特別授業
習志野台中学校で「なぜ僕らは働くのか」をテーマに
習志野台中学校(船橋市習志野台6-23-1)で12月2日、「なぜ僕らは働くのか」をテーマにした市内学校初の池上彰さんによる特別授業が同校PTA主催で全校生対象に行われた。
コロナ禍も2年目となり、その影響で、2・3年生は学校行事の「職業体験」を行うことができなかった。そこで、PTAが中心となり、未来を支える存在となる中学生に「働くこと」「生きること」について考え、働く人たちの思いや姿に触れてほしいと考え、「習中お仕事図鑑」(生徒アンケートをもとにした職業インタビュー集)の作成を企画。その企画の一環で、全校生徒に池上彰さん監修の書籍『なぜ僕らは働くのか』を配付したことが縁で、今回の特別授業の開催になった。
当初はリモートでという前提で話が進んでいたというが、コロナの感染も落ち着きを見せていたことから、リアル開催をPTAから依頼したところ今回の開催に至ったという。
ゲスト講師として同書籍編集者「学研プラス」の編集長・宮崎純さんが進行を担当。特別講師の池上さんを紹介すると、3年生が待つ会場である同校体育館に池上さんが登場した。
池上さんの略歴が紹介され、本が大好きな子どもだったこと、得意な科目や苦手だった科目の話、最初は気象庁の予報官になりたいと思っていたことなどの話があった。ストレートに夢が叶わなかったとしても、やりたかったことに関わる仕事ができていることもあると、プロジェクターでは同書にある「『好き』を活かせる仕事は1つだけではない」というページを紹介。
「サッカーやプロ野球選手になりたいと思うけれど、プロの選手はとてつもなく能力が高いことを知り、自分はできないことに気付き、どこかで諦めないとならないこともあると思う」と話す池上さんは、選手になれなくても「サッカーの楽しさを伝えるスポーツ雑誌の編集者や取材記者、カメラマンの道、スポーツ用品店のメーカー、スポーツ用品を売る仕事など、スポーツの楽しさを伝える仕事ができる」と話す。「必ずしも好きなことを仕事にしなければならないと思い込まなくてもいい」とも伝えた。
パソコンを開発したビル・ゲイツの「マイクロソフト」や検索の仕組みを作った「グーグル」、ネットで買い物ができる仕組みを作った「アマゾン」などを例に、「就職したからといって、今は、『何か違う』と思えばほかの会社で違う仕事をする、会社員ではなく独立してフリーランスになる、他の会社や仕事、自分で会社を作ってしまう人もいるね」と伝えた。やりたくない仕事でもやってみたら自分の能力の幅が広がっていくことがあることや失敗をしてもいいことを伝え、「つらいことがあっても、それらが経験になって蓄積され成長していくんだよね」とも。
中学生からの質問コーナーでは学年ごとに全校からの質問をくじ引きで決め、池上さんに質問した。「大人はえらそうで、子どもが失敗したらなぜ怒るのか」「子どもの頃に戻りたいと思うときはありますか、それはどんな時ですか」「大人はなぜSNSなどで批判をしたがるのですか」などの質問に丁寧に答えていった。
最後に生徒を代表して松山悠翔さんが、「池上さんの講演を聞いて焦らずゆっくりと将来のことを考え、限定的ではなく、たくさんの可能性を信じ、がんばっていきたいと思います」と話し、花束を贈呈した。
池上さんはPTAへの感謝を述べ、「今すぐ恩返しができなくても、これからすくすく成長していくことが恩返しになるんだ、ということを忘れないでください」とあいさつし、講演を締めくくった。
PTA会長の橋本知枝さんは「子どもたちに勉強や将来のことを考えることは大切なんだと伝えたいけれど、どうしてもガミガミと言ってしまい、どうしたらいいかと考えました。今回本を配り、池上先生に来ていただき、保護者の言いたいことをやさしく穏やかに伝えてもらえて、企画してよかったと思っています」と感想を話した。