板倉病院の梶原院長が「病院が地域をデザインする」を出版 「病院らしくない取り組み」のノウハウをまとめて公開
6/27(木)板倉病院の梶原院長が「病院が地域をデザインする」を出版
「病院らしくない取り組み」のノウハウをまとめて公開
船橋市役所近くの板倉病院(本町2-10-1)や介護保険老人施設ロータスケアセンターなど医療から福祉まで幅広く展開する医療法人弘仁会の理事長・梶原崇弘さんが書籍「病院が地域をデザインする」を執筆、6月14日から通販サイトなどでの販売が始まっている。
出版社はクロスメディア・パブリッシング。体裁は188×130mm、192ページ。定価1,580円(税別)。
梶原理事長は1973年船橋市生まれ。麻布高校、日本大学医学部卒。がん研究センター中央病院肝胆膵外科、日本大学附属板橋病院消化器外科副医局長を経て、2011年に板倉病院3代目院長に就任。現在、医療法人弘仁会理事長。日本大学消化器外科臨床准教授、日本在宅療養支援病院連絡協議会副会長。
本書では形だけになってしまっている「地域活性化」が各所でみられる中、地域と病院の理想的な姿として全国から注目を集めている板倉病院の「病院らしくない取り組み」を一冊にとりまとめている。
また、都市部と地方の病院の違いにふれ、制度や病院経営、人口減少に伴う病院の意義や「地域包括ケア」に対する具体的なポイントについても具体的な事例を取り上げわかりやすく解説している。
1章「日本の将来・医療の変化を知る」では、病気は「治るもの」から「付き合うもの」に構造が変わったこと、死生観の変化や「地域での看取り」の普及についてふれている。
2章の「地域包括ケアシステムを考える」では人口密集地と人口減少の進む地方の対比で地域コミュニティや人材確保の違いについてふれ、病院が地域コミュニティを育む場として機能する必要性を説いている。
そして3章「都市型地域密着病院のデザイン思考」では「日本一幸せな船橋市を目指して」と掲げ、「シームレス(外来、入院、在宅などの垣根がない)なネットワークの構築」を目指して法人が行ってきた事業展開と近隣クリニックとの連携、地域住民との関係構築などにふれている。
この章ではあえて病院内で酒好きな人への適切な飲み方を紹介する「お酒の飲み方教室」、地域住民と行っている「防災訓練」、子どもたちを対象とした「いたくらメディカル体験」、子ども食堂「いたくらごはんLABO」運営などについても紹介。企画趣旨や運営ノウハウなども公開している。
また、こうした取り組みを通じ職員の意識向上や教育、成長を促すことも副次的に盛り込み、医療人としての考え方や地域医療に関わるプライドの醸成なども視野に入れて活動していることを紹介。
最終章の5章では「弘仁会の目指す未来」として、地域に根差した高品質な医療を継続するという使命を果たすために、①まず市民の健康を支えるために存在する。②次に、職員とその家族を幸せにする。最後に、法人が存続するための収益を上げるという意思決定の優先順位を紹介し地域の為に存在する法人としての立ち位置や考え方を示した。
同法人は解散の際、出資者に財産が戻ってこない「持ち分なし」法人へ移行している。より公的使命を果たすことを意識した法人運営を心がけていることなどを紹介して本書を結んでいる。