船橋市勤労市民センターで市民団体がHSPについての講演会、市教育委員会にも声を掛けて
6/9(木)勤労市民センターで市民団体がHSPについての講演会
市教育委員会にも声を掛けて
船橋市勤労市民センター(船橋市本町4-19-6)で6月5日、市民団体「HSP未来ラボ船橋支部」がHSP(Highly Sensitive Person、ハイリー・センシティブ・パーソン)についての講演会を開催し、子育て中の主婦や教育関係者などを含めた280人が会場を訪れた。
HSPまたはHSCとは、心理学的概念で「ひといちばい敏感な人・子」とされ、研究者によると世界人口の15~20%はそうした感性を持った人であるという発表がある。今回のイベントを企画・主催したのは「HSP未来ラボ船橋支部」。同団体は、船橋市を拠点に、HSP・HSC(Highly Sensitive Child)同士が集えるサロンやアクティビティを開催している。
同団体代表の鳥居佐織さんは2人の女児の母親でもあるが、鳥居さん本人を含め、娘たちもHSCであるという。鳥居さんは「HSCの子たちの中には、学校が合わない子も多い。そんな子たちの居場所を作ってあげたい」と、市内の自宅スペースを使って「HSC対応リベラルスクール」を主宰するほか、現在は「まずはHSPやHSCという人たちがいることを知ってもらいたい」という思いから、HSC啓発活動、HSC & スピリッツ・チャイルドコーチも行っている。副代表の菊地千夏さんも鳥居さんと同様にHSP/HSCの啓発活動を続けている。
今回の事業について鳥居さんは「神経症や不登校など、生きづらさを抱える人々に正しく特性を知ってもらいたい。多様性を認め合う職場、学校環境作りを促し、自殺や不登校を防ぎ、市民の健康と幸福度アップに寄与したい。さらに、他の子とはものの感じ方が違うために、学校の集団生活にストレスを感じているHSCの子たちの自己肯定感を守ることが目的でもある」と話す。
会では、まず映画「センシティブ ~語られなかった物語」の上映があり、その後、「HSP未来ラボ」の設立者である皆川公美子さんによる「HSCの特性と心理的安全性を実現する環境作り」の講演が約2時間行われた。
映画はアメリカの心理学者であり、HSP/HSCの概念を提唱したエレイン・アーロン博士によるドキュメンタリー映画。博士がHSPにインタビューし実際にHSPたちがどのように感じているのかなどが映し出されたほか、グラミー賞受賞アーティストであるアラニス・モリセットも自身がHSPであることから、映画に登場していた。映画の中では脳科学者の見解、心理学のプロや研究者の話なども盛り込まれていた。
皆川さんの講演では、HSP/HSCの人たちは「ネガティブな感情を外に出させてあげることが大切。『この人は自分の味方だ』『この人は自分のことを尊重してくれる』と感じることが、心理的安全性を保てていることになる。そうした環境がとても大切で、これは企業の中やいろんな社会的場面でも同じこと」と話した。
また講演の途中では、学校の先生に向けてのメッセージなども盛り込み、最後には参加者からの質問へ答える時間も設けられた。
終盤には「今までの社会は、大企業に就職すれば大きな豪華客船に乗って、安心な航路が用意されていたようなもの。だけどこれからの社会は、一人ひとりが手漕ぎボートをがんばって漕いで行こう!という社会に変わっていると思う。HSCはマイノリティで困りがちだが、そういう社会で生き残るには尖っている子のほうがいい。『好き』を見つけていくことが大切」というメッセージも届けた。
会を終えて鳥居さんは「千葉県教育庁、船橋市教育委員会、スクールカウンセラー、心理発達相談員、医師、臨床心理士、特別支援コーディネーター、県議、都議、HSP、HSC本人、HSCの親御さん、HSPの配偶者など、多くの方のご来場いただき、感謝の気持ちで胸がいっぱいです」と話し、「やはり大人がまず心から安心し、自己を整え、子どもと共同調整ができるようになるのは大事なこと」とも続けた。
なお、同イベントで集まった参加費は全てエレイン・アーロン博士の財団に寄付するという。