「猫の森」が市と連携して公民館で猫の不妊去勢手術、多頭飼育崩壊対策として県内自治体が注目
4/29(土)「猫の森」が市と連携して公民館で猫の不妊去勢手術
多頭飼育崩壊対策として県内自治体が注目
船橋市北部公民館(船橋市豊富町4)の駐車場で4月28日、猫の保護活動を続けている「猫の森」(船橋市習志野台2-72-14、TEL 047-404-2288)の移動手術車による猫の不妊去勢手術が行われた。
今回の出張手術は、船橋市が協力して場所を提供したことで実現し、市内では初の取り組みとなった。
同日は手術車が駐車場に設置され、捕獲された野良猫9匹と一般の人から依頼された飼い猫17匹の手術が行われた。手術費用は雄雌とも1匹あたり5,000円と低く設定され、誰でも利用できるものとなる。
「猫の森」は2017年に設立。さまざまな理由で救助が必要な猫や、市の動物愛護指導センターで保護された猫を受け入れて里親探しを行う活動や、「TNR」と呼ばれる取り組みを続けている。TNRとは、地域に住む野良猫を捕獲(trap)し不妊手術(neuter)をし、元いた場所へ戻し(return)、見守っていく活動のこと。
代表理事の北村由紀子さんは、「『猫の森』では常時100匹ほどの猫を預かっており、半分は私たちの施設で保護し、残りはボランティアの方の自宅で預かっていただいている。タレントのサンシャイン池崎さんや元野球監督のラミレスさんにも預かりのボランティアに協力いただいている」と説明した。
また、「猫は1年に2、3回の出産をすることから、増え始めると1匹の猫があっという間に数十匹に増えてしまう。船橋市でも毎年2、3件の多頭飼育崩壊が起こり、地域の社会問題にもなっているが、行政は飼い猫に対して手を出せない仕組みになっている。私たちが飼い主を説得して不妊去勢手術を行い、必要であれば引き取って里親を見つけるなどしている」とも。
多頭飼育の課題を解決するのに役立つといわれているのが、今回登場した移動手術車。問題が発生した現場に出かけて一度に多くの猫を手術することが可能になる。昨年クラウドファンディングを呼びかけて購入し、病院として登録できるようにワゴン車内を改造して獣医療機器を設置し、獣医師が手術を施している。
この取り組みに県内の他の自治体も注目しており、同日も視察の人たちの姿が見られた。その一人である九十九里町議の西村みほさんは「私たちの町では海辺に捨てられた猫が、与えられた魚を食べて増えてしまうということが問題化している。何ができるかを学んで帰りたい」と話した。
同日の朝、手術する予定だった野良猫が2匹の子猫を出産。獣医師が母体に負担がかからないように手術は後日にすることを決定し、保護のため施設に戻されるという場面も見られた。
公民館を利用した出張手術は月1回の予定。5月以降のスケジュールは公式サイト「猫の森 移動手術車」で紹介している。