日大生産工学部図書館が近代建築保存の国際組織「DOCOMOMO Japan」国内280番目の建築物として選定

  2023/9/15
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9/15(金)日大生産工学部図書館が「DOCOMOMO Japan」に選定

国内280例目のモダン・ムーブメント建築として

 日本大学図書館生産工学部分館(習志野市泉町1-2-1)がモダン・ムーブメントに関わる建築物を認定する「DOCOMOMO Japan」の認定を受けたことで9月10日、同校津田沼校舎39号館スプリングホールでのプレート授賞式を実施、市民や関係者を招いて施設の見学会も行った。

 「DOCOMOMO」は1988年オランダのフーベルト・ヤン・ヘンケット氏の提唱で設立された国際学術組織。モダンムーブメントに関わる建築と環境形成の記録調査及び保存を目的とし建築物の情報を収集、概要・価値・写真などをミニマムフィッシュというカルテにまとめる作業を行っている。

 これによって学術的価値を定義づけ一般市民や行政・専門家や教育機関に広め、貴重な建築作品の破壊や毀損から守る目的で活動している。「DOCOMOMO Japan」は日本支部として2000年に設立された。

 日本大学生産工学部図書館の意匠は建築家の大高正人さん、構造設計は木村俊彦さん。竹中工務店の施工で1973年に竣工。構造はSRC造り、RC造り、PC造りの併設。地下1階、地上8階、塔屋2階。建築面積1711.39平方メートル、延べ床面積5181.68平方メートル。

 見学会では「DOCOMOMO Japan」代表・渡邉研司さんから選定建築の基準などについて「1920年以降の近代建築で竣工から35年以上経ているものの中から当時の建築技術における革新性、労働形態の新規性、新しいコミュニティ創造などの観点から選定されている」と紹介。

 次いで同施設の構造計画について同大学建築工学科の藤本利昭さんが意匠設計者・大高さん、構造設計者の木村さんについて紹介。梁を狭い感覚で敷き並べる「ジョイストスラブ」を採用することで柱のない大空間を演出した閲覧室。RC(4~8階)とSRC(地下1階)を併用した書庫棟など設計者目線で当時の建築手法における新規性や背鶏舎の意図を一般の参加者向けにわかりやすく紹介した。

 設備計画について同建築工学科・三上功生さんが設備の専門家として施設の価値を説明。現代では建物の南北で季節や日差しの影響を受ける場合空調機械を複数設置することが主流となっているが、当時でも珍しい技術「二重ダクト構造」を採用している現役施設の希少性、雨水排水の手法などにも特筆すべき工夫が見えることなどを紹介。「建築に関わる学生が利用する図書館として様々なトライの意図が見える施設」と説明した。

 最後に説明会主催の亀井靖子さんから施設の意匠に関し、木造建築に手がかかりを求め近代のプレキャストコンクリートでこの美しさや文化を表現しようと考え取り組まれた独自性のある建築物であることなどを紹介。落ち着いた雰囲気の街に溶け込む建築デザイン、建物だけでなく施設内の什器や机など細かい部分にまで気を配った建築物であることなどにふれた。

 説明後、参加者らは17時まで図書館施設内を自由に見学し、貴重な建築物を写真や動画に収めた。

  • 2階部分、建物外に梁が張り出したようなデザインが特徴

  • 広い空間を実現した閲覧室

  • 施設見学の前に建築物についての説明があった

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