インクルーシブな社会の実現を目指した「わたし、あなた」上映会、監督や主演者も参加
4/19(金)インクルーシブな社会の実現を目指した「わたし、あなた」上映会
監督や主演者も参加
インクルーシブな環境づくりを目指すことを目的とした、映画「わたし、あなた」の上映会が4月14日、浜町公民館講堂(船橋市浜町2-1-15)で行われ、会場とオンライン合わせて約70人が参加した。
主催は「『わたし、あなた』上映会実行委員会」。同会会長のいあみさおりさんは、ADHD・ASDと診断されている高校生の母親でもあり、障がいの有無に関わらず、共に学べる共生社会「インクルーシブ」な社会の実現を目指して、インターネットなどで情報発信も行っている。今回のイベントを開催することになった経緯として「初めてこの作品を見た時に、とても感動した。一人でも多くの皆さんに見てもらい、感想を共有してほしいと思ったことがきっかけ」と話す。
昨年11月から準備を進めてきたといういあみさん。同日は、同映画の脚本と監督を務めた犬童一利さん、特別支援教育や障がい児福祉を研究している淑徳大学教授の松浦俊弥さんも一緒に鑑賞した。犬童監督は、船橋を舞台にした映画「きらきら眼鏡」の監督も務め、この映画を通じていあみさんと知り合ったという。
同映画は、「TOKYO青春映画祭2023」や「第30回キネコ国際映画祭(ティーンズ短編集)」などにノミネートされた作品で、「見えづらい脳や心の不自由さ」「障がいを含めた個性や多様性」をテーマとした短編映画。映画を参加者全員で見終えた後、各グループに分かれて映画の感想を共有し、オンライン参加者はチャットでコメントした。
その後、主演の「リク」を演じた高校1年の塩澤空さんが「たくさんの人に見てもらって、私からあなたへ思いが届けられたのではないかなと思った」とあいさつすると、会場からは大きな拍手が送られた。
犬童監督と松浦教授の対談では、犬童監督は映画をつくったきっかけについて「発達障がいについて知らない人や、苦しんでいる人がいるので、障がいや個性をテーマに映画を作りたいと思った」と話した。「きらきら眼鏡をかけて人のいいところを見るようにすると、インクルーシブな社会につながるのではないかと思う。映画をいい意味で利用してもらいたい」とも。
松浦教授は「発達障がいは個性ではない。個性というとそこで終わりになってしまう。困ってない人はいいですが、困っていれば相談にのりたいし、何に困っていて、どこが生きづらいのか、そういうことをサポートするのが大事」と訴えた。
「わざわざ発達障がいと伝えなくてもいいような世の中にしていきたいし、困っている人がいたら支える、そしていいところを見つけることが大事。監督も話していたが、きらきら眼鏡で見ると、日本の学校現場は変わっていくと思う」と続けた。
いあみさんは、「シンプルな思いから企画したイベントだったが、予想以上のいろいろな方が参加してくれた。見る前と後で、心に何らかの思いが芽生えていたら幸い。私にとっては多くの方に関心を持ってもらえたことが大きなギフト」と感謝の気持ちを話した。