坪井小学校でPTAがDX化 働く女性の自主参加で現場の効率化を実現

  2024/7/24
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7/23(火)坪井小学校でPTAのDX化

働く女性が自主参加で現場の効率化を実現

 働く女性が自主的に参加する形式をとったことで坪井小学校のPTA活動が効率化、オンライン会議やクラウドでの名簿管理といったツールの導入、SNSでの情報発信などDX化によって効率化が進んでいる。

 坪井小学校は昭和50(1975)年児童数1025人25学級、職員41人で開校。習志野台第一小学校、習志野台第二小学校、古和釜小学校から学区の一部を分離する形で学区を編成した。昭和57(1982)年に児童数1323人で児童数のピークを迎え、少子化と都市集中の波を受け平成16年(2004)には298人まで減少。しかし、坪井地区の開発に伴い新興住宅地の開発で令和5(2023)年時点では1254人まで児童数が増えている。

 女性の社会進出促進に伴い共働き世帯が増える一方、PTAの成り手不足は深刻化。「押し付け合い」の雰囲気が横行し、役員や旗持ちなど子どもたちを見守る環境維持が困難になっていた。

「アナログすぎて続かないのでは?」「やりたくない雰囲気が前提?」

 現PTA会長の新川佳奈さんがPTAに入ったきっかけは素朴な疑問だった。子どもたちや学校環境が目的の活動。そもそも、子ども達のそばにいられる役割なのに最初から「やりたくない雰囲気」で話が回ってくるのは何故だろう。

 「誰もPTA活動の内容自体良く知らないのに…」周りの保護者が押し付け合っている雰囲気に違和感を感じた。実際にPTA役員に立候補し初年度は活動の実態を把握することに専念した。

 大手企業の最前線で勤務する新川さんにとってPTAの現場は「アナログすぎて絶対に続かない」「ジェンダー平等がテーマなのに働く女性が活躍できない」と違和感を感じるものだった。「今あるアプリやツールを使えばもっと効率化するのではないか?」と、PTA改革を決心した。

 1年目で「楽しそうな活動」の部分と、「変えたほうが良い」「変えられる部分」とを見極めた。どんなツールを入れたらどのように変えられるか。新川さんは2年目から改革を始めた。

 まず、学校Wi-FiのPTAでの使用を提案した。忙しくて参加できない保護者にはオンライン参加を促した。移動時間がなくなった分、参加できる働く母の参加が増えた。次に、PTAの連絡ツールをプリントからLINE-WORKSでのファイル共有に切り替え、Googleのツールを活用することで紙のアンケートを減らし、データ入力の手間も軽減。

 PTAの名簿共有にクラウドPTAソフト「ポリフィット」を導入。名簿を持ち出せない事から旗持ちの担当者を割り振るためのリスト作成に学校まで来て、名簿を書き写し個別に連絡していたものをクラウドで共有、連絡できるように変えた。学年が変わるごとに再度集め再編成し直していたものが所属変更だけで翌年も持ち越せるようになった。

 保護者の多くがPTA活動自体を知らない事も問題だと感じ、Instagramを使った情報発信も開始した。PTA活動の裏側を知ってもらう事で学校への理解を深めることと同時に良い部分も発信して前向きに参加する役員も少なくない事を伝えた。

 こうした効率化やツールを使ったDX化によって時間が取れないために参加できなかった働く母の参加が増えた。働く母たちは仕事の現場で実践している課題解決型脳をフル活用し教育現場で起きている様々な課題をPTA会議の中で解決する。

 さらに、保護者間の情報共有で解決できること、地域や学校と連携・相談したほうが良い事、学校に判断を委ねたほうが良い事などを会議の中で仕分けしていく。

 問題も出てくる。スマホやタブレット端末を持っていないもしくは、LINEなどのツールを使いこなせない保護者には個別に使い方を共有。以前、LINEグループで情報共有をした際にはプライベートのLINEに営業色の強い連絡が来ることが問題視されたという。LINE-WORKSではLINEとは別アカウントを作成、参加できるため役割を終えたらグループから抜けられる仕組みにした。

 「マイノリティ(少数派)に合わせるのではなく、基準をマジョリティ(多数派)に。マイノリティをサポートすることでDX化を一気に進めることに成功した」と新川さん。「保護者もPTA活動に自主的に参加してくれるようになり、会議も活発になりました。役員以外の方も積極的に参加してくれるようになり活気が出てきました」と中田校長。

  • 課題に対して建設的な課題解決の議論が行われる

  • PTA会議の様子

  • オンライン参加の保護者も

  • PTA会長の新川佳奈さん(左)と坪井小学校の中田敏夫校長

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