駿河台の3代続く老舗「五十嵐畳店」が日本の伝統を活かしたSDGsで話題に、畳わらを活用したコンポスト作りとは

  2022/10/7
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10/7(金)駿河台の3代続く老舗「五十嵐畳店」が日本の伝統を活かしたSDGsで話題に

畳の中にあるわらを活用したコンポスト作り

 県道8号線を北上、吹上交差点を左折してすぐの場所にある五十嵐畳店(船橋市駿河台2-18-9、TEL047-422-1005)で先代から続けている活動が「地球環境に優しいSDGsだ」として近年になって注目を集めている。

 五十嵐畳店が行っているのは、「古畳」を畑の土作りや堆肥作りに活用したい人へ無償提供するという活動。昔からの畳は「畳床(たたみどこ)」と呼ばれる芯にあたる部分にワラが使われている。昔の農家では畳変えの際に「畳床」をばらして堆肥や畑の土と混ぜる事で畑の肥やしにしたり、スイカやキュウリなどの栽培では「敷きワラ」として活用してきた歴史がある。

 こうした農業とわらの関係に着目した同店2代目の五十嵐実さん(57)は、回収してきた古畳を農家や家庭菜園などで活用できるよう持ち運びやすいサイズにカットし、頼まれた畑近くまで運び込んでいる。また、時に畳をばらす作業が大変そうな高齢者世帯の農家には親子で畳をばらし堆肥にしやすいように積んだり、畑の上に撒いたり事もあるという。

 また、畳表に使われる「い草」が空気の浄化作用に優れている事から、3代目の亮太さん(31)は端材をつかった「和のフレグランス」を制作、同社前で無料配布している。最近では、端材を使った「ミニ畳」も作成した。フィギュアコレクターや和食器、和風小物などの作家、日本酒コレクターや酒屋などで撮影用の小物として重宝されているという。

 五十嵐畳店は、初代当主の五十嵐守さんが1965年に創業。守さんは、15才で新潟の畳店に弟子入り。21才で上京。25才の時に同店を開業した。二代目の実さんは19才で店に入り、職人として38年目の現在57才。実さんの代で創業から33年目のタイミングに法人成りした。

 3代目の亮太さんは人材派遣会社勤務を経て今年7月に入社。「本当にやりたいことは何だろう」と模索している中、父の会社のホームページ制作をする過程で畳業界を調べ、業界の今後の展望を考えた上で会社員時代に趣味にしていたWEB制作やマーケティングが活かせると感じての入社だった。

 実さんによると「畳業界の最盛期は私の感覚としては35年くらい前。戸建てやマンション、アパートにまで全て和室があり畳が使われていたので朝5時~夜10時まで休みなく働いても仕事を終わらせることができなかった」と振り返る。「畳職人の中では営業するなんてみっともないという意識の職人も少なくありません」とも。

 亮太さんは、こうした畳業界の現状を知り、逆にチャンスと捉えて入社した。もちろん、実さんは「畳の需要が減って、い草の生産量も減っている」と業界の行く末を考えて積極的には賛成しなかったという。

 亮太さんは、「こうした既存業界の中にマーケティングや営業的な要素がはいることで業界の活性化も目指せるのではないか」と考え、日本文化の中では「当たり前」とされていた古畳の利用法を敢えて「SDGs」と再定義し、若い世代に向けて発信する事などからブランディングを試みている。

  • 基本は畑の脇に古畳を積んでおく納品スタイル

  • 時にばらし作業も手伝う事も

  • ばらした藁を畑に混ぜてコンポストに

  • い草の特性を利用した和のフレグランス

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