東庄町・廃校を利活用した街づくり「オンラア未来会議」の柳堀さんに話を聞いた。
こんにちは。船橋市でタウン誌の発行、ローカルニュース編集などを立ち上げいま千葉県内でローカルニュース編集部の立ち上げ支援をしていこうと考えているやまけんです。
今回訪問したのは、東庄町。チーバくんでいえば、頭と耳のちょうど付け根のあたりに位置する町です。人口は、およそ1万4000人。千葉県内の人口数では43番目。面積では36番目、人口密度は282人/平方キロメートルという東庄町。
古くは、香取海に面した交通の要所として栄え、明治維新後には笹川村、神代村、東城村、橘村が形成され商業、水産、農業を中心に発展してきたという。昭和30(1955)年に東庄町が誕生。現在も主要な産業は農業で、利根川流域に広がる広大な平野での稲作が盛んだ。
オンラア未来会議
この町で話を伺ったのは、柳堀裕太さん。柳堀さんは、都内でテレビCMのプロデューサーとして活躍。数年前から「生まれ育った故郷で仕事ができるようになりたい」と地元の同級生らに呼びかけ街づくりのチームを結成してきた。
最初は5人で始まったこの企画。次に20人になり…一旦5年間でこの活動に区切りをつける予定なのだという。打ち合わせは毎週日曜日。基本はWEBで行っているという。結成からこれまで3年間、一度もミーテングを欠かしたことがないのだという。
それが近年になり組織の形になったものが「オンラア未来会議」。「オンラア」は、この地方の方言で高齢者の男女が自分の事を「オラ」と呼ぶことから「おれたち、自分たち」の意味からとったのだという。
僕とあなたとオンラア・ワンラア
僕とあなたとオンラア・ワンラア|オンラア未来会議/東関東をもっと楽しく|note
柳堀さんが活動を開始したきっかけの一つに「町内に5つあった小学校が1つに統合され、自分が卒業した学校が廃校になってしまった」というものがあるそうです。自分が子どもの頃に見た景色、子どもの頃に関わった大人たち…これまでの人生で積み上げてきた数々の記憶が柳堀さんを動かしたのでしょう。
柳堀さんは東京で仕事しながら少しずつ地元の仲間たちに声をかけ、長い時間をかけて意志の共有を図りメンバーを集めてきそうです。
活動を続ける中で、「東庄町」の価値について考えるようになり、東庄町単体で何かをやろうというのではなく、「東関東地域」という広域エリアを捉えたときにどんな魅力があるのかを考えるようになったそうです。
すぐ近くの銚子市には日本一の漁港があり、隣の香取市には日本一の農業法人が。川を越えたらプロサッカーチームもアリ、国内最大の空港「成田空港」も目と鼻の先。香取神宮も鹿島神宮もこのエリアにあり、九十九里海岸ではサーフィンをすることができ、農業が盛んな東庄町ではおいしいお米も農産物も収穫できる。
そして、柳堀さんには都会の仕事で繋がったパートナーと、地元の仲間たちがいる。
一つの町だけに焦点を絞って考えるのではなく、少しだけ目線を上げてみたら…東京の人たちもうらやむような環境が広がっている事に気が付いたんですね。そして、そうした事実を一つ一つ仲間たちに説明して、「東庄町の可能性」を伝えていったんだそうです。
空き家とテレワーク
都会でも空き家問題は深刻化していますが、東庄町はもっと深刻そうです…現在町内には3000軒を超える空き家があるそうです。そうした空き家を引き取り、収益事業として活用していく事ができれば宿泊やテレワークなどのニーズを満たせることに気が付きました。
廃校の活用方法はアイディア次第で千差万別。
ミュージシャンであれば、ライブステージやイベントホールになります。映画などのロケで必要な撮影場所としても提供可能でしょう。グラウンドでは、人々が交流するイベントも行えるでしょう。
実際に、柳堀さんたちが廃校となった「石出小学校」で都内の仕事をすることでオンライン環境の整備が整い、実際に地方でも都内にいるのと同じ、もしくはもっとハイパフォーマンスの仕事をすることができるという証明にもあります。柳堀さんたちがこの石出小学校w拠点に仕事をすることで打ち合わせにやってくるビジネスマンも周辺環境の良さを認識することができます。
もろもろの事業化が実現可能性をもつのは、柳堀さんのお父さんたちの世代が町の中心で活躍しているというのもあるそうです。
柳堀さん
「町長も副町長もみんな同級生のお父さんなんです。事業の進捗スピード感が違います」
地域の課題感を父と共有し、父親世代とのすり合わせをしながら二人三脚で事業を進めているという。
地元出身者という強みを生かした街づくり提案。
柳堀さん自身が事業を持っているので、石出小学校についても「最悪は自分の事務所だと思えば…」と率先して家賃を負担。町内に整備しようとしているゲストハウスも「実家から出て作業するスペースとして考えれば…」と、赤字覚悟で取得していく。
今回の訪問は、千葉市内で「千葉経済新聞」を編集している株式会社パクチーの福岡さんと一緒でした。福岡さんは、以前にもこのブログで紹介させて頂いた勝浦市の廃校利活用モデル「晴海学園」の事業主体の経営者でもある。柳堀さんも福岡さんも廃校の利活用に関する問題や課題、利点や活用事例、今後の方針などについて情報交換するために今回の視察が設定された。
福岡さん
「やっぱり学校は学びの場所。学ぶ以外のコンテンツではなかなか成功は難しくないですか?」
柳堀さん
「地元の人が何者かになれる仲間作りの場として運営していければと考えています。無価値の状態で放置されていたものを価値化することに意味があるのではないかなと感じています」
福岡さん
「勝浦の事例では、大きな会社との契約を先に決めてしまって変に安売りせずに事業化を目指しました。ベンチャー企業だと3年もたないで消えてしまう場合もあるので、まず経営の安定から狙っています」
福岡さんは晴海学園を事業化するにあたって、グラウンドを活用した「大人の運動会」誘致や、映画やPVの撮影などの大型案件に加えシェアオフィスとして部屋ごとに貸し出すサービスを計画。職員室だったスペースをコワーキングスペースとして活用するなど様々な事業を重ね合わせて形にしていった。
柳堀さん
「学校って基本的にはオープンな場所なので開放の仕方が難しいんですよね…石出小学校は、基本的には閉じている場所。開けやすけど閉じている状態を大切にしています」
石出小学校で受付を担当するのは地域の子育てママさん。元職員室だった場所に託児施設を用意してあるので「子どもを膝の上に乗せて接客」とか「子どもを遊ばせながら自分の作品作りをする」など無理なく、メリットのある形で店番ができるようになっているのだ。
社員食堂のある石出小学校
石出小学校のシェアオフィスには、社員食堂がある。
家庭科室は、飲食店としての営業許可も取得済み。施設の利用者や来訪者、町民が食事に来ることもあるという。
柳堀さん
「皆で食卓を囲むことが大切。ここで皆で食事をすることで、僕たちは人間としての時間を取り戻している気がするんです」
東庄町の廃校でコワーキングスペースをする意味。安いものがあふれているからこそ、手作りのの価値を感じられる。人が人の中で生きることでニュートラルで自然の状態になれる。ともすれば稼ぐことばかりに目が向きがちな現代だからこそ「基本的には人ありき」の町づくりを推奨しているのだとか。
オンラア未来会議のメンバーでコロナ禍に始めた「ドライブスルー」。今後計画しているという「ドライブインシアター」。柳堀さんたちは、様々な企画を実現していく。ブレずに突き進めるのもこの組織が「将来の子ども達の為になるもの」を形にしていくというビジョンで繋がっているからだろう。
そして、この石出小学校には「社員食堂」がある。家庭科室を厨房として飲食店の営業許可を取得しているのだという。
地元でカフェを経営している須合さんが切り盛りする「社員食堂」では、こんなワンプレートメニューを毎日のように食べることができる。
コロナの影響でカフェの営業が難しいという須合さん。
普段は、カフェの営業の傍らで国内トップクラスのドローンチームに引率して各地を回っているのだという。
この旧石出小学校にはドローンのチームも練習やスクールで参加しているのだという。
その縁で須合さんは「社員食堂」を切り盛りするようになったのだという。カフェメニューを社員食堂で堪能する事ができる旧石出小学校。ワークスペースとしてもコミュニティのあるスペースとしても今後の期待が高まりそうだ。
組織名:オンラア未来会議
住所:千葉県香取郡東庄町石出1599(旧石出小学校)
TEL:03-6869-6743(facebookページより)
mail:info@onraa.com
営業時間:不明
定休日:不明
駐車場:多数あり
公式HP:僕とあなたとオンラア・ワンラア|オンラア未来会議/東関東をもっと楽しく|note
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