薬園台南小学校で「ふなばしアートカード」を使った「対話型鑑賞教室」、美術品が描かれたカードで自発性を引き出す
6/5(水)薬園台南小学校で「ふなばしアートカード」を使った「対話型鑑賞教室」
美術品が描かれたカードで自発性を引き出す
船橋市の収蔵美術品が描かれた「ふなばしアートカード」を使った出前授業「対話型鑑賞教室」が6月3日、薬園台南小学校(船橋市薬円台2-18-1)で開かれた。
同授業は小学5年生を対象に船橋市民ギャラリー(本町2-1-1)が図工鑑賞の授業として行っているもの。昨年度から試験的に始まり、今年度は26校、来年度は市内全55校と特別支援学校での実施を予定している。
市が所蔵する美術品が描かれた「ふなばしアートカード」を教材に使い、市民ギャラリー職員が全体進行を担うアドバイザーや議論を支援するファシリテーターとして授業をサポートする。
授業はアドバイザーの説明の後、生徒3人とファシリテーター1人から成る班で討論し、その内容を全体に発表するという形で進められた。
最初は、テーブルの上に並べられた22枚のカードから2枚を選び、その共通点を話し合った。「二つとも山が描かれている」「後ろの風景が似ている」などの声が聞かれ、中には「両方とも生で食べられない」という回答も。ファシリテーターは「本当だね」「よく見つけたね」と声をかけたり、班の仲間が拍手をしたりすると、ためらいを見せていた児童たちが徐々に積極的に発言するようになっていった。
続いて児童たちは、好きなカードを選び、その絵に合わせて順番に物語を作るというワークに取り組んだ。「昔々イカが二匹いました」「黄色い花を見つけました」「びっくりして真っ赤になりました」といったユニークな物語に、教室全体が笑いに包まれる場面もあった。
元小学校教員でファシリテーターの渡辺康夫さんは「高学年の児童たちは自分の思いをしまいがちだが、授業が進むにつれて自ら話をする子が増えてくる。そこが私たちも楽しい。他の学校でも同じ反応で、この授業の仕組みはうまくできている」と話す。
授業を受けた佐藤蘭さんは「カードの絵がとても面白く、みんなで楽しむことができた」と顔をほころばせた。
「ふなばしアートカード」は市の所蔵作品から船橋ゆかりの作家の作品や名画など、44点をカードにした船橋市オリジナルの美術教材となる。船橋市民ギャラリー主幹の大場雅俊さんは、「市の所蔵美術品を活用しようということから始まったが、図工鑑賞の授業として高い評価をいただけるようになった。少しずつ改良を加えており、さらに充実したものにしたい」と意気込む。