船橋出身のピアニスト・関野直樹さんが船橋市文化ホールで初リサイタル、華やかな照明演出と新たな試み
1/12(水)船橋出身のピアニスト・関野直樹さんが船橋市文化ホールで初リサイタル
華やかな照明演出と新たな試み
船橋市出身のピアニスト・関野直樹さん(46)が1月8日、船橋市民文化ホール(船橋市本町2-2-5)でリサイタルを開催し、多くの市民が華麗なステージに酔いしれた。
関野さんはヨーロッパを中心に演奏活動などを行いフランツ・リストの奏者として世界的な評価を得ているピアニスト。2011年にはデビュー10周年記念リサイタルをサントリーホール(東京都港区赤坂)で成功させるなど華やかな経歴の持ち主だが、地元である船橋において、船橋市民文化ホールでのリサイタルは今回が初となる。
関野さんは「お子さんにも楽しんでもらいたいので14時開演のマチネ(昼公演)にした。曲に合わせて照明を駆使したピアノの演奏会は、海外でも観たことがなく、自分として初の試みでわくわくした」と目を輝かせた。
関野さんは二宮小学校、二宮中学校の卒業生。5歳からピアノを習い始め、日本大学芸術学部音楽学科、同大学大学院芸術学研究科博士課程を修了。同時期にロシア、ハンガリーで研鑽を積み、ヨーロッパ、アメリカ、アジアで演奏活動や指導などと活躍していた。
しかし2020年春からは、新型コロナウイルスの影響で地元船橋に居住。現在は法政大学の非常勤講師などを勤め、最近になり、徐々に演奏活動を再開しているという。
小学校時代はブラスバンド部、中学校では吹奏楽部でトランペットのパートリーダーを務めた関野さんは「当時、何度も文化ホールに来たが、まさか数十年後にここでリサイタルを開くとは思わなかった」と振り返る。
同リサイタルのテーマは「光と影」。第1部は控えめの照明でラフマニノフの「プレリュード 鐘」に始まり、「幻想協奏曲」(ショパン)、「死の舞踏」(リスト)など関野さんのトークを交えながら演奏した。
第2部はムソフグスキーの組曲「展覧会の絵」。長い演目だが曲ごとにイメージに合わせた鮮やかな照明で見る者の空想を掻き立てるような演出されていた。アナウンサーの経歴を持つ熊田靖子さんの語りが入り、さながら美術館を案内されているようでもあった。終演後は、割れんばかりの拍手に答える形で、アンコールにリストの「ラ・カンパネラ」と「ノクターン」が演奏された。
終演後、関野さんはホワイエのCD販売ブースに立ち、サイン会を行ってファンと交流した。薬園台在住で家族と訪れたという二宮中学校に通う男子中学生は「関野さんが母校の生徒を招待してくれた。1台のピアノで重厚な低音と、中音、高音をまるでオーケストラみたいに演奏して迫力があって素晴らしかった」と興奮を隠せない様子であった。関野さんは母校・二宮小の生徒にも招待券を贈ったのだという。
市内在住でピアノ教室を主宰する坂野理愛さんは「多彩な音色が素敵でした。特にラフマニノフの『鐘』。それに軽いタッチに驚きました。『死の舞踏』や『展覧会の絵』は、照明効果、アナウンサーさんのトークで、楽しかったです。お子さんも飽きなかったと思います。クラシックでこういうのは初めてでした」と話した。
会場に訪れた関野さんの父・周司さんは「うちは普通の家庭で音楽とは縁がなかった。最初は『男がピアノ弾くなんて』と否定的だったんですけどね…」と明かした。母・重子さんは「直樹は幼い頃に大病をしていて、後悔しないようにやりたいことはやらせてあげたかったんです」と振り返った。
長年、海外と日本を行き来しながら活躍してきた関野さんは「今後は両親の住む故郷・船橋、日本を拠点に活動の幅を広げていきたい」と抱負を話した。