高根町の農家が破棄野菜を使った漬物製造開始、生産者が破棄野菜減らしに挑戦
1/28(金)高根町の農家が破棄野菜を使った漬物製造開始
生産者が破棄野菜減らしに挑戦
300年以上前から続く重兵衛農園(船橋市高根町)が1月21日、誠建クリエート(馬込西2-18-14)前で開催された「まごめマルシェ」に出店し、同農園の破棄野菜で作ったキムチ、高菜や野沢菜の漬物、割り干し大根などの乾燥野菜を初めて販売した
同農園は毎年春に船橋のブランド野菜「船橋ニンジン」の、中でもベータカロテンの含有量が多く糖度が高い「ベーターキャロット」を中心に季節の野菜を栽培している。7年ほど前から乾腐病などの被害が続き、園主の仲村学さんは「昨年の被害は壊滅的で、毎日1トンの破棄が出てしまった」と話す。
同園ではニンジンは収獲機で畑から抜き取りながら手作業で割れのあるものなどを取り除き、機械洗浄する。仲村さんは「この病気は表面にシミができ洗浄するまでは見分けがつかないので、出荷できる正規品と手間は同じだけかかるがシミがあるだけで価値が無くなってしまう」と苦しい胸の内を話す。「シミで出荷できないニンジンは味が変わらないので、シミを取り除いて家で食べていたが、あまりにも多く処分にも困り果てていた」とも。
被害の現状をSNSで発信したところ「もったいない」「何とかしたい」「ぜひ買いたい」といった反響が多かったという。仲村さんは自ら「破棄野菜救出プロジェクト」と称して、破棄せざるを得ないニンジンを飲食店やマルシェ関係者などの協力を得て生かすことができている。「正規品以外は破棄が当たり前のような現状は、生産者側からも考え直さなければと思うようになった」と振り返る。
「破棄野菜は病気や天災だけでなく、出荷先の商品が多すぎた場合出荷を予定していた畑の作物が出荷できず余ってしまうなど、さまざまな理由でおこる」と仲村さん。出荷できない野菜が出た場合、それを自分たちで漬物や干し野菜に加工して生まれ変わらせようと決め行動に移したという。
11月には仲村さんは漬物の責任者である妻の美帆さんと共に「食品衛生責任者養成講習会」の課程を修了し、12月には作業場(約6坪)の保健所の立ち入り検査に合格して営業許可を取得した。「どうしたら漬物を作って販売できるかわからず、一からのスタートでした」と美帆さん。漬物の製造は美帆さんと長女のあかねさんが担当している。
漬物の作り方も家族や知人に相談し、埼玉の漬物店に見学に行ったり、本を読んだり、YouTube動画を観たりと試行錯誤を繰り返した。
美帆さんは「手間はかかるけれど、うちの畑で破棄野菜を出さないようにリメイクし付加価値をつけ最後まで使い切るようにしていきたい。大量生産はできないが少しずつ種類を増やしていきたい。今後はピクルスや他の農園とのコラボ商品も考えている」と夢がふくらむ。
重兵衛農園の漬物・乾物は「すみっこマルシェ8108」(鎌ケ谷市中沢253-10 TEL 047-401-9494)で近日販売予定。農園のホームページhttps://peraichi.com/landing_pages/view/jubefarm-t での通信販売を検討中である。