日大理工学部・若松さんが「2025 千葉県建築学生賞」で最優秀賞に 海老川の水害を受け入れて共生する建築物を提案

  2025/7/17
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7/17(木)日大理工学部・若松さんが「2025 千葉県建築学生賞」で最優秀賞に 

海老川の水害を受け入れて共生する建築物を提案

 日本大学理工学部(船橋市習志野台7-24-1、TEL047-469-5420)海洋建築工学専攻建築デザイン・計画研究室修士1年(大学院生)の若松瑠冴(りゅうご)さんが、3月10日に幕張新都心イオンモール 「イオンホール」(千葉市美浜区)で行われた「第37回千葉県建築学生賞」で最優秀賞を受賞していたことがわかった。

 同学生賞は、千葉県内の建築系学科を持つ大学の学生が卒業設計作品を一堂に集めて講評会を行うもので、今回は17作品の応募があった。参加大学は、日本大学理工学部・生産工学部・短期大学部(船橋市習志野台7)のほか、千葉大学工学部(千葉市稲毛区)、千葉工業大学創造工学部(習志野市)、東京理科大学創域理工学部(野田キャンパス:野田市)、東京電機大学未来科学部(千葉ニュータウンキャンパス:印西市)、千葉職業能力開発短期大学校(千葉市・成田市)。

 各学科から多くても2作品程度のエントリーとなり、エントリーできる人も限られている同学生賞。日本大学理工学部海洋建築工学科からエントリーした若松さんの作品は、海老川沿いの建築物をテーマにしたものだった。

 若松さんは船橋市出身。宮本小学校、宮本中学校、県立国分高校(市川市)を卒業。その後、日大理工学部海洋建築工学科に入学した。

 同科では、建築学の基礎知識を学ぶだけでなく、海洋やウォーターフロント(水辺)の環境を理解し、防災安全に優れ、多様な立地環境に適合できる建築構造を学ぶ。さらに、環境や景観への配慮、都市計画、建築計画なども学び、「人と地球環境に優しい都市や建物を計画・設計・施工できる建築家・技術者を養成している」と佐藤信治准教授は話す。

 若松さんが卒業制作に選んだのは、幼いころから身近に感じていたという海老川沿いの建築物だった。テーマを決める前に調査を行い、調査のために何度も改めて海老川へ足を運んだという。

 「暴れ川」とも言われた海老川のかつての水害について調べたほか、昔の海老川について情報を得るため、「蛇の目寿司」(宮本1)の店主への聞き込みなども行った。発表に際し、海老川周辺には、かつて船橋の水辺はにぎわっていたことや、安全性を確保するためにその風景が変わっていってしまったことなどもまとめた。

 若松さんの作品では「水害を受け入れ、水害と共生する」ことをテーマとし、「住む町に関心を持たない人たちが、船橋の魅力を再発見する土木と人、水辺の架け橋」となることを目指した。作品タイトルは「船橋水景を宿す」。実際に建設する場所も仮定し、海老川沿いに広がる「調節池予定地」を建築場所として設定。下~上流エリアでそれぞれ違う機能を持たせる設計をした。

 また、あえて脆弱性を持った木造建築にすることで、腐食し始めたら、地域住民が自ら修復・更新していくことで、より愛着がある場所になるのではないかと若松さんは考えた。

 下流エリアでは船の離発着が行われ、海の幸などが運ばれ、人でにぎわう。中流には、かつて宿場町として栄えたように船橋の水辺での宿泊体験ができる場所を設け、上流エリアでは伝統芸能などが継承されるよう文化施設を設け、神楽殿のような建物を設計。周りは川の氾濫が泥を運ぶことで肥沃な農地となり、野菜などの農作物が取れる農地をイメージしているという。

 若松さんは「こんな場所があったらいいなと思ったものを表現した。自分にしか作れないものができたと思う」と微笑んだ。

 同作品は、特別審査員賞も受賞した。

関連サイト:
https://chibagakuseisyou.jp/?page_id=3181

  • (左から)研究室の佐藤信治先生と若松瑠冴さん。研究室で

  • 「第37回千葉県建築学生賞」会場で

  • 「第37回千葉県建築学生賞」で発表する若松さん

  • 自身の作品について説明する若松さん

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