
船橋拠点の楽団、指揮者なしで挑む「第九」 バイエルンストゥーベ室内管弦楽団が公演へ
9/25(木)船橋拠点の楽団、指揮者なしで挑む「第九」
バイエルンストゥーベ室内管弦楽団が公演へ
船橋市を拠点に活動するバイエルンストゥーベ室内管弦楽団が10月13日、千葉市民会館(千葉市中央区要町1-1)で9回目となる演奏会を開く。
演目はベートーヴェンの交響曲第9番を合唱付で披露する。同団は結成以来「指揮者を置かない」独自の方針を貫いており、難曲とされる「第九」を指揮者なしで演奏するのは前代未聞、楽団内でも大いに議論を呼んだという。
同団は2020年に濵田文宏さんらが「オルフェウス室内管弦楽団のような楽団を立ち上げよう」を声掛け当初3人で立ち上がった。現在は団員35人、合唱団員約50人を擁する。
演奏会にはエキストラを含め総勢130人が関わる予定で、規模は過去最大となる。練習は船橋市中央公民館を拠点に行われてきたが、改修工事のため現在は市内各所を転々としている。代表の濵田さんは「本当は船橋で演奏したいが、ホールの空き状況もあり千葉市での開催となった」と内情を明かす。
「指揮者がいなければ演奏の統率が難しい」とされる第九。特に第四楽章は合唱やソリスト、管楽器が一斉に出入りする場面が多く、指揮者不在での演奏は大きな挑戦だ。
演奏中の合図はコンサートマスターや管楽器奏者が担うなど、役割を細かく決めて乗り切る方針だという。練習ではメンバー同士が意見を出し合い、相互のリスペクトを前提に調整を重ねている。
浜田さんは高校時代にマンドリン部に親しみ、その後クラシックギターを経て58歳でチェロを始めた。ガン宣告を機に「やり残したクラシック演奏に挑戦したい」と一念発起、約1年でオーケストラに入団するほどに腕を上げた。複数の団体で経験を積み、2019年末に同団を設立した。「指揮者中心ではなく、全員で作るオーケストラを目指した」と語る。
団名は船橋本町のドイツ居酒屋「バイエルンストゥーベbyダンケ」に由来。楽団の立ち上げを決めた思い出の店だという。いまでも演奏会後には同店で交流会を重ねる。店で知り合った演奏者をメンバーに加えるなどリクルートの場としても無くてはならない店だ。
浜田さんは「独裁的な指揮者に従うのではなく、全員で意見を出し合い音楽を作り上げるのが私たちの原点。第九を指揮者なしで演奏することで、その理念を示したい」と話している。
14時開演、全席自由。チケットは2000円(前売り、当日ともに)。