高根台団地のカフェVINE&Shrubで船橋にんじんのケーキとキッシュプレート、三咲の柳澤農園コラボで商品化
6/11(土)高根台団地のカフェVINE&Shrubが農家コラボで「船橋にんじん」商品化
人気があり過ぎて、すぐ完売にものも。幻のメニューも。
高根台団地のショッピングセンターにあるカフェ「VINE&Shrub」で6月初旬から、「船橋にんじん」を使ったメニューが次々と商品化されているが、思いのほか常連客からの引き合いが強く早くも幻のメニューになっているものもあるという。
同店ではほぼ毎日、何かしらの形で「にんじん」を使ったメニューを提供しているというが、今季は特に、市内の三咲で「にんじん」と「だいこん」を生産する柳澤孝行さんと知り合った事で「船橋にんじん」を前面に打ち出しした使ったメニュー開発に力を入れているという。
同店オーナーの榊原律子さんは「柳澤さんが新聞に取材されていた記事を知り、市内の農家に興味を持っていた。たまたま交流会で柳澤さんと話す機会に恵まれ、農家が肥料や資材の高騰で苦境に立たされている実情を聞き『何かできないか』と、商品化に踏み切った」と話す。「私は海外での生活が長かったのでにんじんは毎日食べる習慣があります。顔の見える農家さんの野菜をおいしく食べるために経験を活かせるのであればとってもうれしいです」とも。
今回商品化された「船橋にんじんのケーキ」(300円/カット)は、生地の半分が船橋にんじんだという。しっかりと煮込むことでにんじん本来が持つ甘味を引き出し、砂糖の使用は最小限に抑えている。ずっしりとした食べ応えある生地の中にカリカリとした食感のクルミを練り込むことで、風味と食感のコラボレーションも楽しめるよう工夫を凝らす。
また、6月中旬から販売開始予定だという「船橋にんじんのキッシュプレート」は、船橋にんじんとベーコン、たまねぎを使った無添加のキッシュに、船橋にんじんとレタス、だいこんなど仕入れや旬を加味した野菜をふんだんに使ったサラダに手作りのスコーンを添えたもので、価格はまだ未定。
さらに、6月初旬に「にんじんゼリー」も商品化していたというが、こちらもすぐに完売。現在、インドで親しまれているというにんじんを練乳で煮込んだスイーツ「ガジャルハルク」に挑戦しているという。こちらも、船橋にんじんの入荷を待ち、レシピが完成し次第店頭で提供していく予定だ。
市内農家が抱える課題
柳澤さんが大手新聞社から取材を受け話題となっていた記事は、「肥料と資材高騰による利益圧迫で多くの農家が継続困難な状況に立たされている」というインタビュー。掲載記事によると、戦争の影響で物流網に混乱が生じ、そこに原油価格高騰も相まって輸送費がかさみ、さらに全体的な品薄も起きているという。
また、ロシアやウクライナは肥料や家畜用飼料、小麦などの世界的な産地。農協担当者からは、「今後も世界的な品薄と原料費の高騰が予想され、更なる値上げが余儀なくされている」と連絡が入っているそうだ。そうした原価高騰に対して農家が出荷した野菜の購入価格が追い付いておらず利益が圧迫されているという。
農協などではこれまでにも補助金の支給や利益からの引当金を充て、対応してきたというが、それでも原価の高騰スピードに追い付かず現場で生産している農家にしわ寄せが起きているという話だ。
市内消費の拡大、直売、飲食店での利用を呼びかけ
そうした原価高騰や今後も起こるであろう肥料、資材の欠品などに対応すべく6月上旬に船橋市地方卸売市場内にある「市場カフェ」で交流会を実施。根本解決に向けて料理好きな主婦や飲食店店主、産直場経営者、市場関係者などが集まり船橋にんじんのレシピ化や商品化を計画することに。
手始めに、味に問題はないにもかかわらず「大き過ぎる」、二股になってしまったなどの理由で「形が悪い」として出荷が消極的になっている「規格外にんじん」を加工用として飲食店で仕入れ、調理していくことで、消費者に食事として提供することから始めている。
今後は、船橋市場の仲卸などと協力し、特定農家の農産物を「指名購入」するなどし、市場での購入価格向上に向けた連携を築いていくことも視野に入れているという。