市原市歴史博物館「I’Museum Center」が11月20日開館、歴史・文化活動・市民交流を支える拠点地して稼働へ
市原市は「埋蔵文化財調査センター」を増築・改修して「I’Museum Center(アイミュージアムセンター)」(千葉県市原市飯満1489、TEL0436-41-9344)として11月20日開館させる。
市原市では、1990年に市内の埋蔵文化財の調査研究と発掘調査で出土した文化財を整理保存し、これらの普及活動を通して市民生活向上と地域文化充実に寄与する目的で「埋蔵文化財調査センター」を設立。
今回、市原市内の歴史遺産の価値や魅力を市民に分かりやすく伝える為に「I’Museum Center」として開館させることになった。
同施設は、「市原歴史博物館」と「歴史体験館」という二つの建物からなり、「市原歴史博物館」では、旧石器時代から近現代までの遺跡を扱い、展示室は可動式の間仕切りで展示内容によって間取りを変換することが可能になっている。
稲荷台1号墳から出土した国産最古の有銘鉄剣「王賜」や江戸期から昭和初期まで活躍した「五大力船の舵」などが展示されているほか「自然環境への適応」「フサの原像」「国府は市原郡にあり」「民衆のちから」「農・漁村から工業都市へ」「くらしの姿と生活道具」など6つのテーマで展示を構成。展示内容は、随時入れ替えを行い再訪者にも飽きがこない用に配慮するという。
5つのエリアを配した歴史体験館
「歴史体験館」は、屋内ゲートボール場として使用されていた施設を再活用。「古代住居」、「発掘現場」、「ものづくり広場」、「古墳」、「納屋風建物」という5エリアで構成。
「古代住居」では、竪穴式住居での集団生活の様子を垣間見ることができるよう大きさなどをできる限り忠実に再現している。「発掘現場」では、当時の発掘調査で出土した遺跡などを発見する楽しみを味わえるよう発掘当時の深さ・位置にちょっとした仕掛けを凝らし「発掘現場のワクワクを体験してもらいたい」と工夫を込めている。
「ものづくり広場」では、8台のテーブルで最大50人までが同時にワークショップ可能、学校関係の校外学習など集団での利用を見込んでいる。弥生時代から古墳時代にかけて作られたという「勾玉(まがたま)つくり」、縄文時代のアクセサリーだった「貝輪つくり」、江戸時代の土のおもちゃ「泥めんこつくり」の3種を体験できる。
また、市原市内に実在する前方後円墳を5分の1サイズに縮小した「古墳」では、はにわ作りワークショップで制作したはにわを実際の配置に並べたり、市民団体が縫製した古代衣装をまとっての記念撮影にも利用する予定。
昭和期の農家に併設されていた納屋を再現した「納屋風建物」は、半分だけ完成した状態で建てられており和風建築の壁面や屋根などの構造を学習できる用に再現されている。屋内には当時の農機具展示もされてる。
今回、市原市では同施設での遺跡展示だけでなく市内各所に点在する歴史遺跡を屋外展示物と見立て、屋根のない博物館「フィールドミュージアム」と称して、市内を20地区に分けた歴史遺産を令和7年までかけて整備。「フィールドサイン」と呼ばれる標柱を現地に設置する。スマートフォンからアクセスする事で詳しい情報を得られる仕掛けになっている。また、市民ボランティアとの連携でガイドと回る歴史遺産巡りのツアーなども準備している。
同施設の初代館長に就任した鷹野光行さんは、「旧石器時代から現代に至るまでの日本史の説明を市内から出土、あるいは残されていた実物で展示・説明できる素晴らしい博物館。専門家の立場から見ても日本中のどこにもない施設」と説明。「市原市の子ども達がこの博物館を遊び場だと思って、いつでも来て学べる場所に育てていきたいと思っています」とも。
開館時間は、9時~17時。月曜休館(月曜日が祝日の場合はよく平日が休館日)、年末年始。観覧料=一般300円、高校生200円、中学生以下無料※歴史体験館の観覧料含む。駐車場61台、バス3台、障がい者専用2台。