本町のダイニングバルhyggeで規格外野菜を使ったカレーを商品化、ニンジンと梨の甘みを砂糖の代わりに
11/11(木)本町のダイニングバルhygge(ヒュッゲ)で規格外野菜を使ったカレーを商品化
ニンジンと梨の甘みを砂糖の代わりに活用
船橋市内で15年経営を続けてきたダイニングバルhygge(船橋市本町4-42-4、TEL047-426-0089)で規格外野菜を活用したカレーレシピが完成、イベントや催事などでの販売が始まっている。
同店の開業は2006年。ミッドセンチュリー調のイスなどの家具が配置されたハイセンスな店内、雑居ビルの2階という隠れ家的な立地が話題を呼び繁盛店に。メニューの一つだった「オムライス」が雑誌やメディア、SNSなどで取り上げられるようになり「ランチ時間帯からやっているダイニングバル」としての地位を確立した。
オーナーの小濱哲也さん(48)が規格外野菜に興味を持ち始めたのは、数年前に八千代市内の農家を訪問したのがきっかけ。普段、市場やスーパーで野菜を購入するのが当たり前、「それ捨てちゃうから、持っていっていいよ~」という農家からの声に驚かされた。
「この野菜、調理したら全然食べられるのに」価値観が変わった。これをきっかけに「野菜の廃棄」や「フードロス」について学んだ。食品流通の過程でたくさんの野菜が消費者の口に入らず廃棄されていることを知った。
中でも、収穫までは同じ畑で並んで育っていたが「大きすぎ(育ちすぎ)て箱に入らない」「形が悪い」などの理由で出荷されず、箱代や運送費にもならないのでそのまま畑の肥やしにされてしまう「規格外野菜」に目を付けた。
「規格外野菜の場合、一般流通とは異なり畑に受け取りに行く手間がかかります。しかし、その分生産者との話から新しいメニューのアイディアをもらったりできる。収穫時期には天候不順などで大量の規格外が発生する事も。大量に購入してもカレーを仕込み、冷凍する事で消費できる野菜を増やせると考えました」と小濱さん。
「船橋にんじんは、栄養価も高く甘みも強い。この甘みを活かせないか?」と考え、肉を柔らかくするため「肉をもみ込む」という工程で砂糖の代わりにニンジンを使ってみた。「野菜の持っている甘みが加わる事で味に深みが出ました。今までのカレーの数倍旨みの層が加わったのを実感できます」と顔をほころばせる。
同店では、看板メニューとなっている「オムライス」の裏側で各種定番の洋食メニューも充実している。特に常連客から根強い人気を誇る「牛すじカレー」は10年以上続いているレシピだという。今回、この仕込みに「船橋にんじん」を活用、店でも提供を開始した。
来店客からの評判は上々。続いて夏には蜜症問題で頭を悩ませていた農家から購入し「船橋のなし」を使った「グリーンカレー」のレシピを完成させた。ピリッとくるスパイスの辛味にココナッツと梨の甘みがマッチする。タケノコを入れ各種野菜の食感も楽しめるよう工夫されている。
店の評判に押され催事にも出店したが、結果は散々だった。「廃棄野菜」というイメージが強い「行き場のなくなった野菜」たち。「世間ではSDGsとかもてはやされている様ですが、船橋ではそれほどの浸透していないのかも知れない」と、大量に仕込んだ在庫に頭を悩ませる。
賞味期限は半年に設定。真空パックで1食ずつ冷凍してあるので、食べる分だけ湯せんすることで店の味をそのまま再現できるのが特徴。店で牛すじカレー、グリーンカレーを注文する場合はスープとドリンクがセットで1000円(税込み)。冷凍品を持ち帰る場合、いずれのカレーも540円(税込み)。
現在、船橋にんじんの「牛すじカレー」と、船橋のなしの「グリーンカレー」は、催事やイベント出店、同店の所有するキッチンカーでの販売に加え、本店の店頭でも扱っている。
同店の営業時間は、11時半~15時(ランチ)、18時~24時(L.O.23時)。ランチの予約は貸切のみ。月曜定休。