柏市場の小林海苔店が陸上養殖の「糸青のり」商品化 ノリの安定供給と日本の食文化保存目的に
2/2(金)柏市場の小林海苔店が陸上養殖で「糸青のり」商品化
ノリの安定供給と日本の食文化保存目的に
かつて船橋市内に本社を構え現在は柏市地方卸売市場内でノリの問屋業を営む「小林海苔店」(柏市若柴69-1、TEL04-7131-2829)でアオノリの陸上養殖に成功、2月6日から「千葉県九十九里産 糸青のり」として各方面での販売を開始する。
すみ市大原でアワビの養殖を事業化している「A’Culture株式会社」(いすみ市深堀1885)と連携、アワビ養殖で使用している海水を使用した「アクアポニックス」を活用する。アクアポニックスは、水産養殖と作物の水耕栽培を組み合わせた循環型の仕組み。
アワビ養殖の海水を活用することで窒素成分が多く含まれ栄養価の高いアオノリが育つという。水槽で生産することで水温管理も行いやすく出荷量の安定、品質管理などの面で利点がある。千葉県産のノリは温暖化などの影響もあり年々生産量が減少、これに対しノリの消費量はそれほど減少していないが、原価高騰と生産量の減少で業界全体としては縮小傾向にあるという。
目標生産量は年間1トン、6月までに月産80キロを目指す。販売ルートは既存の卸売りに加え小分けパックでの直売も併用する。柏市場内店舗のほか柏駅近くの直売所「ろじまる」(柏2-2-2)、道の駅しょうなん(箕輪新田59-2)や海の直売所(いすみ市深堀1885-9)などでの販売が決定している。良品計画の運営する里のMUJIみんなみの里(鴨川市)では期間限定の「シラスと青のりのピザ」に使用されている。
小林海苔店は市原市五井で創業、昭和37(1962)年に船橋市浜町に本社を移転した小林海苔店から「のれんわけ」を受け柏支店開設。昭和47(1972)年に小林恵次さんが高校3年生でのれんを引き継ぎ現在の体制になった。
6年前に2代目・忠祐さんに事業承継し、恵次さんは会長に就任。忠祐さんは経営と並行して大学院で「陸上養殖の事業化」を研究。卒業論文のテーマとして養殖する土地を探す中でA’Cultureに出会った。
約2年かけて調整を進め今回商品化にこぎつけた。高知大学で研究された手法を採用。アオノリやアオサの養殖例は西日本中心に数多くあるという。将来的には「アサクサノリ」などの黒ノリの養殖も手掛け、学校給食への食材提供、学校での食育活動なども視野にいれている。
また、陸上養殖のノリをブランド化するにあたってプレスリリースを打つなど情報発信、高級感のあるパッケージデザインなどの部分で「千葉県よろづ支援拠点」から支援を受けた。卸先は今後も拡大していく予定で取引を希望する小売店からの連絡も受付けている。