八坂神社で4年ぶりに伝統行事「中野木の辻切り」、縄の大蛇が疫病や悪霊を追い払う
2/18(日)八坂神社で4年ぶりに伝統行事「中野木の辻切り」
縄の大蛇が疫病や悪霊を追い払う
文禄2(1594)年創建と言われている中野木の八坂神社(船橋市中野木1-12-1)で2月12日、市の無形民俗文化財に指定されている伝統行事「中野木の辻切り」が、コロナ禍を経て4年ぶりに行われた。
「辻切り」は千葉県の農家を中心に伝わる伝統行事で、村落の出入り口となる木に縄で作られた大蛇を巻きつけ、にらみをきかせることで疫病や悪霊が入らないよう願うもの。
八坂神社には毎年2月の初午の日に22世帯が集い、東西の辻に置く2体のヘビと、各家庭の門に巻きつける小さなヘビを作成。本殿に前にとぐろを巻いて据え、ヘビに御神酒を飲ませたのち、神社の坂を下った場所にある辻で2体の大蛇の口を合わせ「お別れ」をした後、それぞれ運ぶ。西の辻(前原4丁目緑地)の木には小さなオスのヘビを、東の辻(中野木共同墓地向かい)の木には大きなメスのヘビを巻きつけた。
中野木での同行事の起源は不明。資料でさかのぼれるのは昭和47年までだが、「年番」と呼ばれる行事責任者の小石桂三さんは「ここの村落そのものは戦国時代より前からあった。その時代から続いているのでは」と話す。「ヘビの作り方の講習などは一切ない。みんな年に一度の行事に参加する中で覚えてきた」と、以前に責任者を務めた興松勲さんは明かす。
同地区の農家は年々減少し、現在は22件、米作りをする農家に至っては7件となっている。以前は水田や山で容易に手に入ったワラやスギ、ヒイラギといった材料も入手が難しくなっているという。伝統行事の継続のため、今年は初めての試みとして、回覧板や掲示板を通じて町内会にも行事への参加者を呼びかけた。
回覧板で開催を知り見学に来たという家族連れは「この地区に引越してきたのがコロナ禍以降だったので、大きいヘビを見たのは初めて。個人宅の前に飾られたヘビを見て何か気になっていた」と話した。
「少し上の世代ではあまりオープンにしたがらなかった行事だが、興味がある人や参加してみたい人もいるのではないか」と話す小石さん。「このままではいつ途絶えるか分からず、今年が最後の開催になる可能性もある。外部からの支援や協力も得られたら」と話した。